外伝〜演奏家の捜索〜前篇
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力差で何故やり合おうとするのかが理解できません。)
(ま、こういう頭に血が上った連中にはそれがわからないのよ。)
青年達に敵意を向けられたヴァイスは溜息を吐き、アルは不思議そうな表情で呟き、エルファティシアは呆れた表情で呟いた。
(ど、どうするのロイド……?)
(完全に頭に血が上ってやがるぜ?)
(くっ、こうなったら俺達で制圧するしか……)
そしてエリィとランディに判断を迫られたロイドが唇を噛みしめて判断しようとしたその時、リュートを弾く音が聞こえてきた!
「フッ……哀しいことだね。」
そして声が聞こえた方向をロイド達が見つめるとそこには建物の屋上にある木箱にリュートを持ち、白いコートを羽織った金髪の青年がいた。
「争いは何も生み出さない……愚かな憎しみの連鎖を紡ぐだけさ。そんな君達に、歌を贈ろう。混沌とした心を解きほぐしやがて人々を結びつけるような、そんな優しくも切ない歌を……」
ロイド達を見下ろしている青年は口元に笑みを浮かべて言った後、リュートを鳴らして歌い始めた。
「流れ行く 星の 軌跡は…………道しるべ 君へ続く…………
焦がれれば 想い 胸を裂き……苦しさを 月が笑う……
叶うことなどない はかない望みなら………」
青年が歌っているといつの間にか交換屋の店番の女の子が青年の後ろに来て、青年を蹴って怒鳴った!
「……おい、うるせーぞキンパツ!!」
「むおっ……!?」
女の子に蹴られた青年は歌を中断をした後振り返り、焦りながら言った。
「ど、どうしたんだい、可愛い仔猫ちゃん。フッ、見ての通り演奏中でね。悪いがサインなら後でお願いするよ。というか、こんな所で蹴られたらさすがに危な――――」
「ゴチャゴチャいってんじゃねー!店の上でメーワクだから、さっさとおりろ!」
自分に話しかける青年を女の子は睨んだ後再び蹴り、蹴られた青年は慌てた様子で木箱から飛び降りた。
「わ、わかった。わかったからもう――――」
「おーりーろー!」
そして青年は女の子に追いやられながら逃げ
「わー……!?」
「あ、落ちた。生きてるかー、キンパツー。」
「きゅう。」
「……生きてるなー。」
声を上げた後、女の子の声が聞こえてきた。そしてその場にいた全員は黙り込み
「あー……その、なんだ。なんか白けちまったし、帰るわ。」
青年の一人はロイド達を見つめて言い
「ヒャハッ、なんだよあの金髪……もががっ。」
もう一人の青年は何かを言いかけたが青年に手で口を塞がれ
「……いいから、帰るぞ。」
青年に促されてロイド達から去って行った。
「に、逃げた……」
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