第5話 忘れていたクライシスコア
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幸福と言う名のある奇襲が百代を襲う。
「どうだ?寝心地の方は?」
「ッッッ!!!??」
ただ質問するだけでは無く、この状態で頭を撫でて来るのだ。
恋人でもない男からの反則技に、百代はたちまち心の中でノックアウト宣言をした。
願わくば、この時間が一秒でも長く続いてくれと願うほどに。
しかし百代は気付いていなかった。
少し離れた所から、数人の修行僧達にニヤニヤ顔で観察されていた事に。
因みに、士郎が学園に戻る前に、第一グラウンドを占拠している二つのファンクラブは教師の小島梅子とルー・リーにより、教育的指導の下で全員鎮圧されたのだった。
−Interlude−
鎮圧された二つのファンクラブと違い、魍魎の宴はそれに巻き込まれる事なく撤収できたという連絡をガクトから受けたモロは、一応安堵した。
そして携帯をしまって使用可能のエリアから出て、先程まで居た病室に戻るためにモロは足を進める。
今現在モロがいる所は、葵紋病院である。
定期的に育て親である祖父の付添いとして病院に通うモロではあるが、今日はその日では無い。
ではなぜモロが病院に来ているかと言えば、自分が体調不良に陥ったから――――と言うワケでは無い。
以前祖父の付添い時に、たまたま遭遇したのだ。彼女に。
『師岡君、友達とはもういいの?』
「うん、大丈夫だよ。天谷ちゃん」
『もう、ちゃん付けなんていいって言ってるのに・・・』
「そうは言うけど、天谷ちゃんもボクの事を君付けで呼んでるし、おあいこでしょ?」
『フフ、そうだったわね!』
楽しそうに談笑する2人だったが、彼らは触れ合う事叶わずに、とても厚い壁に阻まれている。
モロと透明な壁越しで談笑する彼女の名は『天谷ヒカリ』
この病院に数年前から入院している。
彼女の体は都市部の汚染された空気には適応できず、呼吸困難に陥る重い病だ。
それをきっかけに、世界でも珍しく治療法が確立していない別の病気にもかかっているので、今いる特殊な病室から出れないままなのだった。
それ故、日を重ねるごとに彼女の感情面が激減するなどしていたが、モロとの出会いにより笑顔を取り戻してきているのだった。
それを知ってか知らずか、モロは祖父に心配掛けさせない時間ギリギリまで彼女と談笑していくのだった。
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