第5話 忘れていたクライシスコア
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今日は居なかった。
こんなカオスを知らず知らずのうちに作った元凶達はと言うと、現在川神院に居た。
「セイ、ヤッ、トォ!」
「喰らう、カっ!」
一撃一撃が数多の武芸者達を沈めてきた百代の主砲、川神流無双正拳突きである。
それを士郎は、いなして躱し捌きつつ、時には後ろに後退しながら衝撃を抑えながら、ものすごい速度で後退していく。
しかし百代はいなされては突進し、避けられては突進し、捌かれては突進し、衝撃を受け流されてはより前へ進んで行く。
傍から見れば士郎の防戦一方の形に見えるが、士郎視点でのこの組手の目的は百代の戦闘衝動を一定以上まで抑えるためのガス抜きである。
その為、必要以上に士郎が攻めに出る必要はないのだが、ただ防戦だけに徹していると百代がふて腐れるので仕方なくその辺を見極めた上で攻撃もしている。
その時、士郎の正拳が百代の鳩尾にもろに突き刺さった。
「がっ・・・・・・ぇぇ、あだっ!?」
しかし瞬間回復もあるので一瞬で全快だが、何故か百代は士郎の拳骨を頭から喰らう。
「な、何する――――」
「態と受けたろ?」
「な、何のこと――――」
「次やったら、もう無し――――」
「わかった、すまなかった!」
この組手が今の百代にとって何よりも変えがたい時間であるた為、無しにされる位なら素直に謝る様になった。
それをヤレヤレと肩を竦めた士郎は呆れるが、百代は怒られたこと自体も嬉しそうだった。
友人や舎弟は年下ばかりで怒られてもなんか違うし、爺やルー師範代や最近は全く顔を見なくなった元師範代の釈迦堂さんも何かしっくりこなかった。
だが士郎は違う。
同い年の筈なのに、まるで父親のような存在としても認識していた。
だから今回の様な時は以前とは違い、子ども扱いされても不快な気持ちなど微塵も湧いて来なくなっていた。
「フフ・・・!」
それ故自然と笑みも零れる。
だが士郎としては気味が悪い。
「如何して笑ってるんだ?これでも怒ってるんだぞ?」
「いや、別に笑った訳じゃ――――」
そんな2人の様子を遠くから生暖かい目で見る者達が居た。
それは川神院の修行僧達である。
「いやー、今日で二回目だが未だに信じられんなー」
「確かに・・・。百代と互角に渡り合える奴が同い年に居たなんてな!」
「いやいや、俺が言いたいのはそこじゃないんだ」
「?じゃあ、一体何ですか?」
「あの百代が乙女の顔をしてるんだよ。しかも恋する乙女だなー、ありゃ?」
『えぇええええええええ!!?あの男勝りがぁあああああ!!?』
「お前らそれ、セクハラだぞ?」
幸い、いわれ放題の百代は士郎との会話に集中しているので聞こえていな
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