113部分:第百十二話
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第百十二話
第百十二話 開戦
五人と魔女は睨み合っている。その中先に動いたのは魔女の方であった。
「!?」
右に動く。紫の法衣が夜の闇の中に消えていく。
「消えた!?」
「まさか」
だが本当に消えてしまっていた。見れば二匹の使い魔達も消えてしまっている。
「うふふ、私が何処にいるかわかるかしら」
声だけが聞こえてくる。
「わからないわよね。こんな夜の中じゃ」
「くっ」
「何処にいるのよ」
「さて、何処でしょうね」
魔女は笑っていた。五人の焦りを見て笑っていた。
「貴女達には私は見えない。けれど私には貴女達が見える」
魔女の声は語る。
「それは確かなことよ。そして」
笛の音が聴こえてきた。
「この魔法も。確かなことなのよ」
「この曲は」
「知ってるの、春奈ちゃん」
「ええ」
春奈は四人の言葉に答えた。
「ビゼーの花の歌よ」
「花の歌」
「カルメンってオペラの曲なんだけれど。けれどどうしてこの曲を」
「それはすぐにわかるわ」
魔女の声が答えた。
「すぐにね。うふふ」
「何勿体つけてるのよ」
華奈子がそんな魔女の声を聞いて悪態をつく。
「言いたいのなら早く言いなさいよ」
「何をするつもりか・・・・・・!?」
赤音は何かを言おうとして別のことに気付いた。
「皆、これって」
「花!?」
暗闇の中に花びらが舞っていた。黄色い鮮やかな花びらが舞っていた。
「どうしてお花が」
「しかもこんなところに」
「これが私の今度の魔法よ」
魔女の声が五人に答えた。
「これがね」
「花びらがどうしたっていうのよ」
だが美樹はその花びらを見ても動じない。
「花で私達を倒せると思って!?」
「ええ」
また魔女の声は答えた。
「だからこそ使うのよ」
「だからって」
「一体何を」
五人の周りを花びらが舞う。闇の中に紫の魔女の声だけが木霊していた。
第百十二話 完
2006・5・2
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