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魔女に乾杯!
112部分:第百十一話

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第百十一話

                 第百十一話  あの場所で
 かって五人と紫の魔女が戦った夜の校庭。今ここにまた五人が集まっていた。
 皆法衣を着ている。それぞれのステッキをその手に持っていた。
 使い魔達も一緒である。そして敵を待っていた。
「これで用意はいいわね」
「ええ」
 美樹は華奈子の言葉に頷いた。
「何時でもいいわよ」
「紫の魔女、今度こそ」
 華奈子は意気込んだ。
「やっつけてやるんだから。覚悟しなさいよ」
「力が入るのはいいけれど気を付けてね」
 ここで梨花が華奈子に注意した。
「力が入ってるとかえって動きが鈍るから」
「ええ、わかってるわ」
「けれど気を抜いちゃ駄目よ」
「うん」
 赤音がそれに頷く。
「手強い相手だし」
「私達五人でもそうそう勝てるかどうかわからないものね」
「そうよ」
 今度は梨花が頷いた。春奈の言葉だった。
「今度は。何をしてくるか」
「また笛かしら」
 華奈子が言った。
「それでそこからの魔法で」
「それとも別の」
「またゴーレムか何か」
「それもすぐにわかるわね」
 梨花の声はもう戦闘に入っている時のそれであった。
「もうそろそろ時間だから」
「もうなの」
「皆、用意はいいわね」
「ええ」
「勿論」
 梨花を中心に広がる。
「何時でもいいわよ」
「どっから来てもやっつけてやるんだから」
 ここで一陣の風が吹いた。
 そして笛の音が聴こえて来る。見れば校門から一つ影がやって来ていた。
「来たわね」
 五人はその影を認めて身構えた。
「紫の魔女」
「遂に」
「皆さん、こんばんは」
 やはりその影は紫の魔女のものであった。二匹の使い魔も一緒である。
「私の申し出、受けてくれたのね」
「当たり前よ」
 華奈子が返す。
「今日こそは。あんたをこてんぱんにやっつけてあげるんだから」
「覚悟しなさいよ」
「やれるのならね」
 紫の魔女はその言葉に対して不敵な笑みを浮かべた。
「やって御覧なさい」
 魔女と五人は睨み合った。校庭はこのうえない緊張に支配された。


第百十一話   完


                2006・5・2



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