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シークレットゲーム 〜Not Realistic〜
異常者
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葉、そして、過去に聞いた事のある音。
 悠奈の表情は険しくなり、走る速度を上げ、刀真も音のする方へと向かっていった。





 ある場所、その音が発生していた場所での事。




 普通では見られない光景。……否、平常時で銃などは基本的には見られないだろうが、異常空間でも中々見られないであろう光景がそこにはあった。

 片方の男が持っているのは拳銃。38口径の回転式拳銃 ニューナンブM60。

 日本警察でも採用されている。
 シングル・アクション ダブルアクション両用であり連射する事も出来るが6発しか装填出来ない。が、集弾率は高い為優秀な武器である。

 だが、真に驚くのは男の方ではなく異常な装い。

 ……勿体つけるつもりは無いため、直ぐに言うが≪メイド服≫を身に纏っているのだ。

 その手に持つのは大型のチェーンソー。

 確かに、チェーンソーは当たれば殺傷能力は抜群。
 刀は身体を開くイメージであれば、チェーンソーは傷を食い荒らすイメージ。

 そんな事より、メイド服の女はそんな重量物を軽々と扱い、男の銃弾を弾いていた。並の動体視力と力では不可能な芸当だ。正確に弾道を読みつつ、手足の様にあの武器を取り扱わなければならないのだから。

「ッ!! 何よあれ!」
「驚いているのは、オレも同じ、だが、今は急いだ方がいい。あれじゃ死人がでるのも時間の問題だ」

 驚いている悠奈を尻目に、刀真は懐の銃を手に素早くとった。
 それは初日に手に入れたワルサーPPK。

「わ、わかった。……殺すのは駄目よ」
「わかってる。……そっちも当てるなよ」
「……うん」

 悠奈は愚問だったと、直ぐに思い、刀真と共に銃口を向けた。狙うのは一点のみ。

「ッ!!」

 銃弾が響いたと同時に、二発の銃弾がメイドのチェーンソーの刃に当たって火花を散らせていた。それでも、チェーンソーを放さなかったのは、大したものだ。

「(あれを軽々扱っているだけで相当だがな。……成程、あの時(・・・)あの場所でいた者か)」

 身に纏う雰囲気こそはあの時とは遥かに違うが、何故か、そうだろうと確信していた。

「ストップ!! そこのメイド、止まりなさい!」
「ッ……!!」

 悠奈は、声を上げた。
 その声にその場にいた修平が思わず叫ぶ。

「――悠奈!? それに刀真も!」
「よかった! 見つかったんですね!? それに来てくれたっ!」
「まぁ、これだけ銃声が聞こえてればね。他の3人を見つけられなかったのだけは残念だけど」

 悠奈はそう返した。

 だが、決してメイドから目は離さない。明らかに異質な空気を身に纏っているからだ。

「何も言わずに離れてたのは、悪かった。……
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