暁 〜小説投稿サイト〜
シークレットゲーム 〜Not Realistic〜
異常者
[4/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初
カジノの側のスピーカーから、一気にどよめきが巻き起こっていた。


「っ!?」


 流石に戸惑いを隠せなかった。二度目は無い、とついさっき頭の中で戒めていたのだが、それでも嘲笑うかの様に、覚悟が掻き消えたのだ。

 だが、いつまでも出ないわけにはいかない。
 相手はプレイヤーであり、質問であれば応答する事は周知させてあるのだから。ゲームの範囲内であれば答える義務はあるのだから。

「はい。なんでしょうか」

 限りなく動揺を押し殺し、冷静を装って対応をした。

 ……出来たであろうと判断した。



 時刻は6:30。



 この中央管理施設に現れた者がいたのだった。







 そして場面は再び変わる。




 遡る事数分前の事。



 悠奈は、フィールドのエリアを駆け巡っていた。
 少しずつ、捜索範囲を削りつつ、残してきた2人と1時間以内で合流できるように範囲を考えていた。
それだけの判断は出来るが……、決して冷静だとはいえないのだ。

「何で……こうなるのよ。あの時だって……、あの時だって……、英吾さんが……」

 それは、考えたくないのに……頭の中を過ぎってしまう過去の記憶。……過去の悪夢である。
 悠奈にとっては、忘れたい程苦しく、そして 決して忘れてはならない記憶。だが、直ぐに考えるのをやめて、走りながら頬を二度、三度と叩いた。

「だめ……、こんな時こそ冷静にならなきゃ。……絶対に探し当てる。そして、問い詰めてやらなきゃならないんだから」

 思考を乱すわけにはいかない。
 確かに探さなければならないのは事実だが、周囲への気が散漫になるのはもっと危険だ。まだ見ぬ危険なプレイヤーの存在が、拍車をかけるから。だから、悠奈は 改めて集中しつつ、考える。

「後、まだ、見てなくて、……短時間に行ける場所。………あそこ!」

 悠奈は、PDAを操作しつつ、頭の中でルートを描いた。
 
 僅かの時間で行ける場所であり、……人がいる可能性もある場所。

 そして、その場所へは直ぐに到着した。

「中央、管理施設……」

 悠奈は小さく呟く。
 大きな建物であり、探すとなれば時間も要する為、後にしていたが もう後は此処しか調べられない。
 修平達と合流してから、他の場所を探せばいいのだから。悠奈は、もう既に見えている管理施設を目指して走り出した。移動の最中も痕跡を探しているが、無意味だと直ぐにやめていた。彼の様な目を持っているわけでもないし、彼が残すようにも思えないのだから。

 入り口の扉を音を殺しつつ開け、足音もなるべく殺しながら早足で奥へと向かった。

 そして、もう数m先の角を曲がった先が、例の説明会が
[8]前話 [1] [9] 最後 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ