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ロザリオとバンパイア〜Another story〜
第55話 女の戦い
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を言っているのだが、口元は完全に笑っており、笑顔の奥には、策士の表情も出てたりしていた。

 この辺りから、つくねは現状の異常に気付く。

「(あ…れ? なにやってんだーーーオレ! か、体の制御(コントロール)がまったくきか………っ)」

 身体の異常性に気づきながらも、全く逆らう事が出来ず、そのまま くるむの柔らかな身体を抱きしめ続けるのだった。


 そんな光景を――見ている者がいた。
 いや、意図して見せつけられたのだ。……そう、くるむは モカに見せつける様に、タイミングを計ってつくねに魅惑眼(チャーム)を仕掛けたのだ。

「(うそ……つくね……?)」

 モカは、つくねの血をいつも通り? 吸っていたのだが、流石につくねもしんどくなり(献血量程度とは言え、朝から血を抜かれたから)『飲み物扱いしないで〜!』と、つくねに言われてしまい、モカは、それを謝ろうとつくねを追ってきたのだ。
 カイトにも、『飲み物扱いはダメ』と言われていたのに……と反省の色も出していた。カイトは、笑ったり、誤魔化したりはしても、つくねの様に 思いっきり逃げたりはしなかったから。だから、つくねに 逃げられてしまった時、反省をしたのだろう。

 そして、今 この場面をしっかりと見てしまった。

 つくねにとって最悪の瞬間を。つくねも――魅惑眼(チャーム)を使われた、とは言え 本命であるモカに見られてしまい、気が動転してしまう。

「な……な…」

 魅惑眼(チャーム)の影響だけではない。上手く言葉が出なくなってしまっていた。


 モカも、どうしていいか判らない様子で、暫く動く事も何かを言う事も出来なかったのだが。


「ヒヒ…モテるねぇ だが…女には気をつけろよ〜 少年…」
「ひっ!! だれ!!!」

 
 いつの間にか背後に誰かが来た。そのおかげで動く事が出来たのだが……、さしのモカも突然の驚きを隠せられなく、ビクッっとあわてて振り向いてみると。

「ヒヒヒ……なぁに……、ただの通りすがりさ」

 その妖しげな人物は、バスの運転手だった。意味深な言葉を残し、彼は 葉巻を吐き出しながら去っていったのだった。

「(も、モカ……さ、さんっっ!! そ、その、オレ……)」
「やっふふ〜〜。さーつくね君っ! 向こうでお話しようっ♪」

 くるむは、ここぞとばかりにつくねの腕を取って自分の腕を絡ませ、まるで恋人の様に……この場を後にするのだった。



 モカは、あの運転手のおかげ? で動ける事が出来る様になったのだが、つくねの事を追ったりせず、そのまま教室の方へ戻っていき、力なく教室の前の廊下で壁にもたれかかった。

「まるで…恋人みたいだったな… あんなにくっついて… やだ…、私なんでこ
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