SIDE:A
第三話
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に手を出さんでほしいのぅ」
「厚かましい奴よ。保障できんなそれは」
ほっほっほっ、と笑うヒルゼンに「ふんっ、古狸め」と悪態をつく九喇嘛。
ミナトとクシナはやれやれと顔を見合わせていた。
「ああ、それと。妾の名前は九喇嘛というが、主らはそれまで通り九尾と呼ぶがよい。九喇嘛と呼ぶのはダメだ」
「あらどうして?」
「妾の真名を口にして良いのは妾が認めた者のみ。そして、妾が認めているのは童のみだ」
認められているとはっきり言われたハルトは嬉しさが隠しきれずニコニコと笑顔を浮かべた。
しかし、一つ不満があった。それは――。
「クーちゃんクーちゃん。名前で呼んでよ」
「む……」
いつまでも童なのは嫌だった。ちゃんと名前で呼んでほしいハルトは色打掛の袖を引っ張りながら「ヨンデヨーヨンデヨー。オネガイダヨー」と歳に見合った姿を見せた。
袖を引っ張られながら渋面で考え込む九喇嘛。
「ま、まあ気が向いたらの」
と、曖昧な返事を返した。頬が少し赤くなっているのを一人見抜いたクシナはニヤニヤと不審な笑みを浮かべていたが、幸いなことに誰も気が付かなかった。
「ところでハルト、彼女を使い魔にしたって言ってたけど、使い魔ってなんだい?」
ミナトのもっともな言葉に一斉に視線が向けられる。
九喇嘛ちゃんも自分に関係する話のため真っ直ぐハルトを見ていた。
「僕が考えた使い魔は主人の身を守る剣であり楯だよ。それとちょっと従者みたいな印象もあるから、それも設定に入れちゃった」
「ふむ、従者か。なんとも強力な従者が出来たのぅ」
「そうですね。九尾がハルトを守ってくれるなら心配要らないね」
うんうんと頷く前火影と現火影。意外にも九喇嘛は大人しく聞いており反発する様子を見せていなかった。
文句の一つでも言ってくるかと思っていたハルトは不思議に思って聞いてみる。
「えーっと、今言った通りクーちゃんの使い魔としての役割はそんなところなんだけど、いいかな?」
「その程度の内容ならば妾が契約に応じた時点で想定済みよ。まああまり気は進まんがの」
「そっか。ありがとう、クーちゃん」
「……っ! ふ、ふん! 礼を言われるほどではない」
頬を朱に染めてそっぽを向く九喇嘛。ハルトを含めたミナトたちは明らかに照れ隠しと思われる仕草を微笑ましい気持ちで見ていた。
(でもまあ、みんな無事だし九喇嘛も使い魔にできた。どうなるか不安だったけど最良の結果に終わってよかった)
半分肩の荷が下りてホッとしたハルトであった。
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