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NARUTO〜サイドストーリー〜
SIDE:A
第三話
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力が抜けていくのを感じた。順調にこの少年の使い魔になっていく自分に頭を悩ませながら。


「でも九尾ほどのチャクラを物理的に封印することは不可能だ。もしやるとすれば陰と陽に分けて片方を封じるな。ん? ということは、もしかして……。ハルト、その夢だと、汐音に九尾を封じた?」


「――!」


「……!」


「……うん。父さんの言う通り汐音に封じたよ。夢の中の父さんが言うには、汐音を里の英雄にしたかったらしいけど」


「そうか……。そうだね。あの状況なら僕も恐らくそうしただろう」


 痛々しそうな悲しげな目でクシナの腕の中で眠る汐音を見る。


 クシナも想像して悲しくなったのか、涙を零していた。


「でも、汐音は英雄になれなかった。むしろその逆で、汐音を九尾と同一の人物と見なされて憎悪の対称になったんだ」


『なっ――!』


 顔を俯かせるハルト。脳裏に過ぎるのは原作でのナルトの扱い。


 ナルトを九尾だと、化け物だと罵り、石を投げつけ、虐め迫害する大人たち。


 ハルトは両親の命を救うほかに、あの残酷な運命から妹を守りたかったのだ。


「夢の中の汐音を見て思ったんだ。石を投げられ、口汚い悪口を言われ、誰にも見てもらえず認めてもらえない。汐音をこんな悲しい目に合わせちゃいけないって」


「……」


 厳しい顔で押し黙るミナト。クシナは涙を流しながら汐音に何度もごめんねと誤り、ヒルゼンもやるせない表情で目を瞑った。


 原作当事を思い出して意気消沈していると頭を撫でられる感触がした。見上げると、ぶっきらぼうな顔でそっぽを向いている九喇嘛が無造作にハルトの頭を撫でていた。


 思わぬ使い魔の気配りに感動したハルトは、それまでの暗い空気を払拭するように柔和な笑顔を作った。


「だから頑張ったんだ! 汐音に悲しい思いをさせないように、父さん母さんを守れるようにって! きっとあの夢を見たのは皆を守れっていう神様の意思だったかもしれないって。そう思って今日この日のために頑張ったんだよ俺!」


「……っ! ハルト!」


 感極まったのか、膝をつきハルトを抱き寄せる。声を殺して泣く母の背を優しく叩いた。


 ミナトもハルトとクシナを優しく抱き締める。両親のぬくもりを感じながらハルトは改めて、守りきれたんだなと実感した。


「……頑張ったんだな」


「私たちを守ってくれて、ありがとう。ハルト……」


 両親の言葉を聞き、自然と涙が零れた。


 ほわっと暖かな空気が流れる。ヒルゼンは優しげな眼差しで家族の仲睦まじい光景を見守り、九喇嘛もふんっと悪態をつきながらもどこか柔和な雰囲気を漂わせて
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