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第百十話
第百十話 挑戦状
「皆さんにお手紙ですよ」
塾の授業がはじまる前に先生が五人にこう言った。
「お手紙?」
「はい、こちらに」
先生はその手紙を五人に手渡した。
「授業が終わってから読んで下さいね」
「はあい」
それに応えた後で授業になった。五人はそれが終わるとすぐにその手紙を囲んだ。
「ラブレターかな」
「まさか」
そんな冗談を言いながら手紙を開く。それは残念ながらラブレターなぞではなかった。
「これは・・・・・・」
五人はその手紙の中を見て顔を暗くさせた。
それは挑戦状であった。送り主はもう言うまでもなかった。
「紫の魔女」
「やっと来たわね」
五人は手紙を読んで思わず声を出した。
「待っていたけれどやっと来たわね」
「場所は・・・・・・ふん夜の学校の校庭で」
かって五人が魔女と戦った場所である。
「今夜。随分早いわね」
「向こうも待てなくなってきてたってことかしら」
美樹が春奈に答えた。
「待てなくなった?」
「あたしと同じで焦ってるってことかしら」
赤音は首を傾げ華奈子は自分の考えを口にした。
「多分ね」
そして梨花は華奈子の言葉に頷いた。
「魔女も。焦ってるわよ。若しかしたら私達よりも」
「何で?」
「決着をつけたがってるのでしょうね、向こうも」
「それも早いうちにね」
美樹の目が光った。
「だったりゃってやりましょうよ」
赤音が言った。
「向こうがやる気なら望むところよ」
「けれど罠があるかも知れないわ」
春奈は慎重論を述べた。
「若しあったら」
「いえ、ないと思うわ」
だがここで華奈子が言った。
「どうしてそう思えるの?」
「相手が焦っていたらね」
彼女は四人にそう答えた。
「罠なんて。そういう時は仕掛けるよりも自分の手でやるものだから」
「成程」
「向こうが焦っていたらだけどね。けれどこんなに早い時間に指定してくるってことは」
「ないわね」
「ええ」
「じゃあ今夜ね」
梨花は最後に四人に声をかけた。
「決めるわよ」
「うん」
四人はそれに頷く。こうして五人と紫の魔女の最後の戦いがはじまることになった。
第百十話 完
2006・4・25
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