日常編1
第63話竜と雪乃
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んからじゃ想像出来ないな。そりゃあ成績とかで龍星に劣等感を感じる人はいるだろうけどーーー雪乃さんはそんな事ないと思ってた。
「じゃあ何で龍星と?」
「う〜ん・・・理由の一つは、私の両親かな」
「雪乃さんの?」
そういえば雪乃さんのご両親はどうして龍星との結婚を認めたんだ?去年の秋、9月下旬に式を挙げた時は雪乃さんは20〜21歳なはずだ。法律的には可能だろうけどーーー流石に早すぎる気もする。
「私、17歳の時に両親と死別したの」
「・・・え?」
「他に兄弟も親戚も、大学にも親しい友達もいなかったから完全に独りになったわ」
両親と死別ーーーオレと同じだ。ただ違う所があるとすれば、オレには和人という生き別れの双子の弟がいて、雪乃さんには他に血縁者がいないこと。他のケンブリッジの院生は成績を競うような関係だったらしいし、彼女は本当にーーー天涯孤独なんだ。
「そんな時、リューセーが力になってくれた」
でも、独りじゃなかったのかもしれない。今の言葉でそう思えた。
「リューセーは小さい頃父方の祖父母を亡くしていて、幼い頃から才を見出だしていた分、物分かりが良すぎたのかとても泣いていたそうよ。当たり前ではあるんだけど・・・リューセーは当時6歳、その年頃の子はあまりそういうのが分からないでしょ?私はこう思ったわ・・・天才が理解出来る事は全てが喜怒哀楽なんだって。それこそ幼い頃からそうなんだから、なおさらそう思ったわ」
そうだ。龍星が6歳でオレが3歳の時、未来が2歳の時に祖父母は他界した。父さんは一人息子だったし、その分たくさん愛してもらったから涙を堪えるのに必死と言ってもよかった。その時オレは本当にチビで何が何だかよく分からなかった。でもーーー確かに龍星は泣いていた気がする。その年頃で葬式に出席してもあまり見ないようなーーー大粒の涙で。
龍星は赤ん坊の頃から天才だった。2歳で小学校低学年で習う漢字の読み書きを全てマスターして、両親ですらクリア出来ない知恵の輪を20秒でクリアしてしまう程のーーー言ってしまえば、突然変異の超天才児だった。その分理解力が良すぎて大人でもそう簡単に受け入れられない現実を受け止めてしまった。天才が知ることは全てが喜怒哀楽、確かにその通りだと思う。
「それから私はリューセーと少しずつ距離を縮めていったわ。薄型のパワードスーツを開発したり・・・」
いきなりとんでもねぇモン開発してる。
「竜くんの左腕の話を聞いて、リューセーが部位欠損再生の新薬を開発しようとしたから私も手伝ったわ」
あの薬、雪乃さんも一緒に作ってくれてたのか。そっか、雪乃さんも恩人だったんだな。
「そういえば偶然すっごく危ない兵器が完成したこともあったなぁ〜。ちょっと笑っちゃった」
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