六十一話:神
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とができるのは勝者と死体のみ。
乾いた風が死を誘うように吹き抜けていく。それが合図だった。
「フッ」
「黒鍵! なんて速さや…ッ!」
スカリエッティが一本の黒鍵を投擲する。一見すればただの投擲であったが時間を操れる彼の手にかかればそれは豹変する。黒鍵が到達するまでにかかる時間を加速するだけで殺傷力は跳ね上がる。間一髪で躱すはやてであるが爆弾でも落ちたような着弾点に冷や汗を流す。
「一つで終わると思わないことだ」
「させない!」
さらにもう一つ飛ばそうとするスカリエッティであったがそれはフェイトによって止められる。スピードであれば誰にでも負けることはないと自負するフェイト。しかし、この世界ではそうもいかない。
「ついてこれるかね。限界まで加速した私の動きに!」
タイムアルターと同じ要領で加速したスカリエッティが容赦なくフェイトの首を狙う。その動きを何とか視認するフェイトであったが体は反応してくれない。その柔らかい喉笛が喰いちぎられる。そう覚悟したが彼女は自分一人で戦っているのではないことを失念していた。
「フェイトさんは!」
「私達が守ります!」
首の皮一枚を斬ったところで、間一髪でストラーダが黒鍵を弾き飛ばしフェイトを救う。そしてスカリエッティの元にはフリードの火炎とキャロの魔力弾が襲い掛かる。
「くだらん」
それを事もなげに腕を振るうだけで消し飛ばすスカリエッティ。しかし攻撃はそれで止むことはない。ティアナの弾丸がスカリエッティの頭部めがけて襲い掛かる。
「スバル、頭を狙いなさい! 一撃で昏倒させれば回復もできないかもしれないわ!」
「分かった!」
さらにそこへティアナとの連携でスバルがナックルで殴り掛る。一撃で昏倒させると言っているがどちらかというと脳を直接破壊しに行っているように見える。しかし、相手は反則そのものともいっても過言ではない存在なので誰も気にしない。
「ほう、そこに気づいたかね。確かに私の意識が途切れればこの世界は崩壊する」
弱点を言い当てられたというのにスカリエッティは笑うだけである。しかし、それも当然のことであろう。気絶させれば勝ちではあるが、一体どうやって―――
「だが、私が君達の攻撃に当たるとでも?」
―――時間を操る男に攻撃を当てればいいのだろうか。
それはまるでトロイヤ最大の英雄アキレウスの弱点を狙うようなものだ。世界一有名といってもいいアキレス腱こそが彼の弱点だ。誰もが知っている。誰もがそこを狙えばいいと言うだろう。だが、しかし―――誰よりも速い男に攻撃を当てるなど誰にできるのか。
これはその手の無理難題だ。方法はあってもそれ自体が不可能に近い。針の穴を通すような正確さをもってしても無
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