108部分:第百七話
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第百七話
第百七話 山
二匹は山に入った。山に入ると早速薬草を探しはじめた。
「こっちにもあったよ」
「こっちにも」
意外にも草は次々と見つかった。そしてそれを採集していく。
「何か意外とすぐ見つかるね」
「本当だね」
うず高く積まれた薬草を見上げて顔を見合わせる。
「蛇とか鳥もいないし。無事集まってるし」
「やっぱり蛇は怖いのね」
「当然じゃないか」
リャンはイーにこう返した。
「魔法を使えても僕はやっぱり蛙なんだし」
「そうなんだ」
「亀はいいよね、こうした時は」
「まあね」
イーはにこりと笑って答えた。
「甲羅があるから」
「うらやましいなあ、僕も甲羅が欲しいよ」
「何言ってるんだよ、君のジャンプの方がうらやましいよ」
「そうかなあ」
「僕は動きが鈍いからね。それを考えるとどっちもどっちかな」
「そうかも。まあ話はいいや」
リャンは話を打ち切った。
「これ持って帰ろうよ。これだけあれば充分だと思うよ」
「そうだね。それじゃあ」
イーも頷いた。
「魔法で持って帰ろうよ」
「頼むよ」
「僕が!?」
だがイーはキョトンとした顔で言葉を返した。
「君が魔法を使うんじゃないの!?」
「えっ、僕物を持ち上げる魔法なんて知らないけれど」
「僕もだよ。だって君が知ってると思ったから」
「何でそれ言わなかったんだよ」
リャンはそれを聞いてその平べったい口を尖らせた。
「早く言ってくれれば」
「それは僕の台詞だよ」
イーも言い返す。
「どうするんだよ、御主人に持って帰ろうにも」
「そんなこと言われたって」
二匹は困り果ててしまった。どうすればいいのか。だがここで思わぬ助っ人の声がした。
「お困りのようですね」
「!?」
二匹は突然の声にハッとした。
「この声は」
「一体!?」
声はすれども姿は見えず。声はそれには答えず言葉を続けた。
「お助けしましょうか」
「お助け!?」
「はい」
声は二匹に対して語る。二匹はそれを黙って聞いていた。
第百七話 完
2006・4・18
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