外伝〜新教授の依頼〜中篇
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後溜息を吐き、エリィはある事を思い出して呟いた。
「……”神”の加護か……あのシズク・マクレインの盲目だった目に”神”に祈るだけでわずかとはいえ光を再び与えた事といい、”癒しの聖女”や癒しの女神教の治癒魔術といい、異世界は非科学的な事だらけだな。」
「まあ、それを言ったら私もその非科学的な存在になるでしょう?」
「ハハ……確かに。昔はエルフなんて御伽話の中だけの存在だと思われていましたしね……」
そしてセイランドが呟いた言葉を聞いたエルファティシアはからかいの表情でセイランドを見つめ、リィンは苦笑しながらエルファティシアを見つめた。
「……なるほど、わかりました…………」
一方ロイドはセイランドの説明に頷き
「最先端の近代医療の担い手としてはずいぶん殊勝な意見だね?」
ワジは口元に笑みを浮かべて尋ねた。
「近代医療は万能ではないさ。こと心と魂の問題についてはな。そしてグノーシスはおそらく、それらと肉体を共鳴させるような何らかの働きを秘めているんだろう。多分、ヨアヒムもグノーシスの全貌は掴めていなかったに違いない。教団に伝わっていた秘儀を元に試行錯誤しながら完成させ、量産化に成功しただけのはずだ。」
「確かに、そのようなことを本人も認めていたような……」
「ああ、各地で行われた儀式のデータを元に、試行錯誤しながら完成させたと言っていた……」
「ふむ、やはりそうか。ヤツは有能で熱意もあったが天才というほどズバ抜けた発想の持ち主ではなかった。それが悪い方に出てしまったか……」
「ひょっとして……」
「あのヨアヒムと個人的な知り合いだったりするんスか?」
自分達の話を聞いて納得した様子になった後、真剣な表情で呟いたセイランドの話を聞いたロイドは驚き、ランディは尋ねた。
「ああ、ヤツがレミフェリアの医科大学で学んでいた頃の同輩さ。卒業してからは会っていなかったがたまに最新の研究成果などについて手紙でやり取りはしていた。だが、まさかこのような形で医の技術を悪用し、自らの身まで滅ぼすことになるとは……」
「教授……」
「……お察しします。」
「いや、詮ないことを言った。―――いずれにせよ、私から報告できるのはここまでだ。グノーシスの真相に迫るには別のアプローチが必要になるだろう。これは完全に私のカンだが……グノーシスの原料である”プレロマ草”なる植物の特質が鍵になるのではないかと思う。」
「”プレロマ草”…………」
「教団のデータベースに記されていた名前ですね……」
「しかし、結局どんな植物でどこから手に入れていたのかもわかってねぇんだよな?」
「ああ、私も知り合いの植物学者などに当たってみたが該当するものは見つか
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