外伝〜新教授の依頼〜中篇
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いる。それが凶暴な性格への変化につながるのだろう。」
「なるほど……」
「確かに一通り説明がつきそうですね。」
セイランドの説明を聞いたロイドとノエルは頷いたが
「―――だが、あくまで生化学的に説明できるのはここまでだ。」
「え……」
セイランドが呟いた言葉を聞いて呆けた声を出した。
「いくつかの効能については非科学的としか言いようがない。具体的には、先程も話に出たツキを呼び込むという効能……そして、君達も何度か目撃したという”魔人化”という肉体変異現象だ。」
「………た、確かに……」
「そいつがあったか……」
「……魔人化を引き起こすのは紅いタイプのグノーシス……やはり蒼いタイプのものとは異なる成分だったわけですか?」
「それなんだが……実は、蒼いタイプのグノーシスも紅いタイプのグノーシスも成分的には何ら変わりはない。少なくとも生化学的にはな。」
「そ、そうなんですか!?」
セイランドの話を聞いたロイドは驚いて尋ねた。
「ああ、あの色の違いは精製時の処理の差によるものだ。主成分に何ら違いはないし、分子構造もほぼ一致している……にも関わらず、紅いタイプは肉体変異などという説明不可能な現象を引き起こしている……―――正直、魔人化というのが君達が恐怖のあまり見た”幻覚”と考えるのが一番しっくりくるくらいだ。」
「いや、そいつはさすがに……」
「アーネスト秘書の魔人化はあたしも目撃していますし……」
「わかっている。―――だからここまでが限界なんだ。グノーシスという薬物の正体を生化学という分野からのみで時明かすというアプローチではな。そういう意味ではそちらにいる女性―――エルファティシアさんやあのユイドラ領主、ウィルフレド・ディオンの娘達が開発した解毒薬とやらも全く解析できなかった。」
ランディとノエルの言葉に頷いたセイランドはエルファティシアに視線を向け
「まあ、あの薬にはエルフの神―――”ルリエン”の加護を受けた森……要するにルーンエルフ達が住まう森で取れる薬草を主成分に調合された薬だからね。”神”の加護を受けた薬を化学的に明かすなんてのは不可能よ。あの時も私の手持ちを使ったからたった2つしか調合できなかったし。しかもあの時は私が知っている調合に必要な他の材料がなかったから、その代わりとなる材料をクロスベルで見つけるのにかなり苦労したわよ……」
「そう言えば事件が終わった後、セラウィさんとシルフィエッタ様の交渉によってルーンエルフ族の森にしか取れない薬草や他の材料をメンフィル帝国やユイドラが手に入れて、メンフィル帝国を経由して、クロスベル市に届けられたそうですものね……」
視線を向けられたエルファティシアは説明した
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