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第百三話
第百三話 山登り
山に着くとまずは頂上目指して登りはじめた。山自体は平坦でありそれ程苦しくはない。二人と二羽は順調に進んでいった。
「何か思ったよりしんどくないや」
「この山はね」
美樹は信也にこう返した。
「ピクニックにもってこいの。穏やかな山なのよ」
「そうなんだ」
「天気もいいし。落ち着いて行きましょう」
「うん」
信也はそれに頷いて進んだ。そして少し歩いて一休みとなった。
「頂上まであとどれ位かな」
「もうすぐよ」
「そうなんだ」
「ほら、もう見えるでしょ」
そう言って上の方を指差す。
「あそこよ。もう少しでしょ」
「そうだね」
「見えているから。頑張りましょうね」
「そうは言ってもあまり疲れてないよ」
「あら」
そういえば美樹の方もそうであった。
「こんな山なら大丈夫だよ」
「そうだったの」
どうやら信也は美樹が思っていたより体力があるようであった。
「それだったらもっと高い山にしておくべきだったかしら」
「いや、それは」
しかし信也はそれには快い顔をしなかった。
「困るなあ」
「そうなの」
「やっぱりこの位の山がいいよ、僕には」
「ふうん」
「またピクニックに来るんならここがいいね」
「けれどとりあえずは頂上にね」
「うん」
「行ってから話しましょう。もう少しだし」
「そうだね、それじゃあ」
二人は立ち上がった。そして頂上に向かいはじめた。
「ねえ御主人」
ここでビルガーとファルケンが声をかけてきた。
「お天気、大丈夫かなあ」
「お天気!?」
美樹はそれに応えて顔を上げた。しかし空は綺麗に晴れたままである。
「大丈夫でしょ」
「そうかしら」
「だといいけれど」
二人の心配は後で的中することになる。だが美樹はまだそれには気付いていなかった。
「何はともあれ行きましょう」
「うん」
「そうだね」
二人と二羽はそのまま頂上に向かった。頂上が見えてきた。遂にそこに到着したのであった。
第百三話 完
2006・4・4
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