第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#17
戦慄の暗殺者V 〜Illuminati Cradle〜
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【1】
「灰燼になれええええぇぇぇぇッッ!! 狩人フリアグネエエエエェェェェッッ!! 」
焼魂の叫びと逆水平に構えた指先で鋭くフリアグネを刺すシャナ。
その標的に向け “轟ッッ!!” という凄まじい唸りを上げて迫る、
赤熱の 『灼 炎 高 十 字 架』
「フッ……」
炎架の放つ凄まじい灼光にその耽美的な美貌を照らされ
給水塔の上に片膝を降ろして座っていたフリアグネは、
笑みを浮かべたまま拍手を止めると純白の長衣が絡み合った
女性のように細い左手をゆっくりと前に差し出し、
そして緩やかな反時計廻りに動かしながら誤差一oの狂いもない
円を空間に描き始めた。
ピアニストのように細く艶めかしい指先が時間軸の四半点を撫ぜる度、
その印が複雑に組み換えられる。
流麗な動作とは裏腹に頭蓋の神経が毟られるような
精密手技を執っているにも関わらず、
フリアグネは額に汗一つかかず口元の笑みも崩していなかった。
己の知力と技術とに、絶対の自信を持っている何よりの証。
その廻転運動に合わせ、純白の長衣と同色の手袋で覆われた掌中からやがて、
奇怪な紋字と紋様が湧き水のように溢れ出した。
白炎で包まれた無数の紋様はすぐさま立体的に膨張し、
フリアグネの周囲に円球状と成って展開されその華奢な躰を包み込む。
突如場に出現したその白炎障壁に、
シャナの撃ち放った紅蓮の炎架が真正面から激突した。
バシュッッッ!!!
その刹那、赤熱の 『灼 炎 高 十 字 架』 は
跡形もなく粉微塵となって消し飛んだ。
エネルギーの膠着も、拮抗も、対消滅も、“何も引き起こさずに”
存在の忘却の彼方へと吹き飛んだ。
白炎の紋様障壁に包まれたフリアグネの周囲を、
砕けた紅蓮の炎架の飛沫が余韻のように靡く。
宛ら、“アノ時” を再 現するかのように。
そんなコトはさも当然だと言わんばかりに、
フリアグネは口元を長衣で覆ったまま
勝ち誇ったようにシャナを見下ろしていた。
「そ……そ……んな……ッ!?」
一切の光の存在を赦さない、無明の双眸が驚愕で見開かれる。
自分の、最大最強焔儀がいとも簡単に防がれた。
炎術の練度が鈍っていた等という些末な問題ではない、
自分は、先刻の焔儀を刳り出す為に手持ちの存在力の塊 『トーチ』 を
全て残らず消費した。
それに加え大きさに比例して制御も難しくなる巨大なる力を、
己の精神力のみで強引に捻じ伏せ最高の威力を編み出した上で発動したのだ。
それなのに、自分がアレだけ時間と労力を賭けて造り出した攻撃型自在法を、
眼上の男はものの数秒でソレ以上の防御系自在法を生み出し封殺し
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