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STARDUST唐eLAMEHAZE
第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#17
戦慄の暗殺者V 〜Illuminati Cradle〜
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溢れたマリアンヌの言葉に困惑の表情を浮かべる承太郎。
 しかし彼の鋭敏な頭脳は、己の意志とは無関係に与えられた情報を
演算し始めその「理」を模索する。
「戦闘用」 では、ない?
 なら、何故、この女はオレの前に姿を現した?
“オレを殺すこと自体が” 目的ではないのか?
 脳裏に様々な疑問がランダムに点灯する。 
 困惑した表情に対し口元に清らの微笑を浮かべ、
魅惑的な甘い芳香を靡かせながらマリアンヌは言葉を続けた。
「私の今のこの 「躰」 は 『都喰らい』 によって発生する
膨大な量の 「存在の力」 を注ぎ込む為に創られた、いわば聖なる 「器」
そしてご主人様と共に永遠を歩む為に創られた悠久の 「似姿」……」
 自信に満ち溢れた清冽な表情で細い手を胸に当てながら、
マリアンヌは己が存在の本質を語らう。
 しかし承太郎は同時に語られた “別の事象” に意識が向き
想わず声が口から漏れた。
「『都喰らい』…… だと……ッ!?」
 その彼の動揺には気づかず、紅世の美少女、マリアンヌは主譲りの
麗らかな口調で言葉を紡ぎ続ける。
 少女にとっては 『都喰らい』 と呼ばれるモノの事象よりも、
今の自分の本質を語る事の方が遙かに重要であるらしかった。
「だから今の私のこの 「姿」 はご主人様の私に対する想いの結晶。
フリアグネ様の永遠の愛が顕在して 「形」 と成ったモノ。
だから今のこの躰で私がアナタに――」
「おいッ! “そんな事ァ” どうでもいいッ!」
 甘い熱を秘めて紡がれる令嬢の言葉は、
無頼の貴公子が放つ怒声によって掻き消された。
 自らの言葉に陶酔していた少女は、微睡(まどろ)みから覚めた仔猫のように
パールグレーの双眸を(みは)り瞬かせる。
「答えやがれッ! その 『都喰らい』 っつーのは一体ェどういう意味だッッ!!
テメエッ! アレだけ殺ってもまだ飽きたらず、
今度は “この街の人間全員” 喰いやがるつもりかッ!?」
「――ッ!」
 宿敵に何よりも大切な主との 『絆』 を 「そんなもの」 呼ばわりされた事に、
少女は宝珠のような綺羅の肌を微かに紅潮させムッとなったが
すぐにその表情を引き締める。
“相手の感情を読み取りその 「弱み」 を利用しろ。
特に 「怒り」 は最も生み出し易く尚且つ利用し易い”
という主の言葉を思い出したからだ。
(ハイ……解っております……私のご主人様……)
 心中で甦った最愛なる者の言葉に、
マリアンヌは感謝の意を捧げると同時に頬を朱に染めた。
「ウフフフフフフフフ。コトはアナタが想っているほど
「単純」 ではないわ。空条 承太郎」
 そう言ってマリアンヌは焦らすように言葉の間隔を開けると、
淡いルージュの引かれた夢幻の口唇で静かに告げ
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