103部分:第百二話
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第百二話
第百二話 出発
サンドイッチを作り終えた美樹は次の日の朝早く信也と一緒にピクニックに出発した。御供はファルケンとビルガーである。
「それじゃあ行きましょう」
「うん」
「了解」
「しゅっぱーーーーーーつ」
信也と使い魔達は美樹の言葉に頷く。そして家を出てまずは駅に向かうのであった。
「今日はいい天気よね」
美樹は空を見上げて言った。
「雲一つないし。爽快だわ」
「ここまで晴れていると何か飛び回りたくなるよ」
「あんたはいつも飛び回ってるじゃない」
美樹はファルケンに対してこう言った。
「それも好きなだけ」
「そうかなあ」
「そうよ。まあ鳥だからいいけれどね」
「そりゃどうも」
「けれど御主人も飛べるじゃない」
ここでビルガーが美樹にこう言ってきた。
「箒で」
「あれは魔法だからね」
けれど美樹はそう言われてもどうということはなかった。
「自分の力で飛んでるわけじゃないから」
「それじゃ自分の力で飛んでみたい?」
「まあ確かに」
それにこくりと頷いた。
「せめて箒を使わずにピーターパンみたいに飛んではみたいわね」
「そんなこと出来るの?」
信也が尋ねてきた。
「おとぎ話みたいに」
「ええ、出来るわよ」
美樹はにこやかに笑って信也の言葉に応えた。
「もっと魔法が上手くなったらね」
「そうなったら僕も一緒に飛びたいな」
彼はそれを聞いて無邪気な顔で言った。
「お姉ちゃんと一緒にさ。お空を好きなだけ」
「けれどそうなる為には私はもっと魔法が使えるようにならなくちゃ駄目なのよね」
「そうなの、御免ね」
「いえ、今すぐにじゃなかったらいいわ」
しかし美樹は弟を咎めようとはしなかった。
「何時かきっとね」
そして言った。
「一緒に飛びましょう、それでいいわね」
「うん」
信也はその言葉を聞いてにこやかな顔で頷いた。
「何時か絶対ね」
「うん」
「その時は僕達も一緒だよね」
「勿論よ」
美樹は使い魔達の言葉にも応えた。
「皆で飛ぼうね」
こんな話をしているうちに駅に着いた。そして電車に乗り山に到着した。
第百二話 完
2006・3・29
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