第五話〜目覚めの風〜
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ドしている翠星石が出てきた。僕以外に誰もいないことを知ると態度を変え、高圧的な挨拶をしてきた。
「へっへーん、来てやったですよ紫苑!」
「翠星石、来てやったっていうのは失礼だよ。僕達はお邪魔する立場だからね。」
「う〜、蒼星石はいつも考えが硬いです。もっと軽くいけないですかね。」
こうしたやり取りを見ると2人の仲がよく分かる。姉妹の中でも双子の2人は特別な?がりの強さがあるのだろう。ただ翠星石の方が姉らしいけどこの様子からはそうは見えない。
「あはは、まぁそんなに堅苦しいものでもないからね。遊びに来た感覚でいいよ。さ、入って入って。」
2人を店の奥の休憩室に案内する。座布団の上に座らせる。すると翠星石が不思議そうに下を向く。
「なんです?この変な床は?」
「うーん、草の独特な匂いがするね。」
「そういえばジュン君の家には和室がなかったね。それは畳っていうんだ。」
「「タタミ?」」
そうか、彼女達は基本外国にいたから日本の文化とか全く知らないんだっけ。
「んーと畳っていうのはね、この国特有の床代わりのシートみたいなもので、蒼星石ちゃんの言う通り草を編んで作るんだ。」
「へぇ〜、凄いですねぇ〜。こんなに細かいのに。」
二人とも驚いているようだ。こうやって知識を得ていくんだろうな彼女達は。お父様、ローゼンはこういうことも望んでたんじゃないのかな。
微笑ましい様子をしばらく眺めていた時、ふと頭の中に声が響き僕は立ち上がった。
「どうしたですか?」
「風が出てきたみたいだ。」
急いで店頭に並ぶ花たちを中へと入れ防風用のネットを被せた。やがて強い風が吹く。
「どうして、分かったの?」
「店の奥にいたはずです。」
2人が疑問を投げかける。確かに風が吹く前に、僕は風が吹くことを知った。それはさっきも言った通り、声が聞こえたからだ。
「うん、最近なんか変でさ。そのことについても2人に話してみたいと思っててね。さ、今度こそ入ってよ。」
未だに首をかしげる2人を休憩室に再び座らせる。とりあえずのお茶と菓子を出した。
「それで、どうかな?この店の花は?庭師の君たちの目から見て。」
「とても素敵です。ここの植物たちは皆、生き生きとしている。愛が込められてるのがよく分かります。」
「土や日当たりのことと見栄えのことを上手く考えてあるようです。感心したですよ。」
2人の素直な意見は凄くうれしかった。美咲さんも花の手入れはするのだが、大半の花は僕が面倒を見ている。その喜びを噛み締めながら、すこし恥ずかしげに僕は話した。
「僕の夢はさ、庭を作ることなんだ。それもとびっきり凄い庭を。それこそ世界中の人々が見たい見たいと思うほどの。だ
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