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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第46話 展望
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どうにかなってしまいそうだ。
 自分はいま、心からこのひと時を楽しんでいる。そして、その先を願っている。
 嘗ての私欲を滅し、ただ役割を最高の効率で成し遂げる機械になろうとしていた篁唯依はどこにも存在しない。

 愛され、愛して―――その先を望んでいる。

「ああ、そうだな。しかし、たこ焼きとは元々はソースを使わないものだったらしい。」
「えっそうなんですか?」
「なんでも小麦粉を出汁で溶いて生地自体に下味を付けていたらしい。まぁ、当時はソースが無かったからそうでもしないと味のない粉ものにしか成らなかっただろうがな。」

 この人と共に歩んでいく未来が欲しい。

「成るほど……じゃあ、今度挑戦してみようかな。」
「上手くいったら(おれ)にも食わせてくれ。」

「なんかトンビが油揚げを浚っていくと宣言してるように聞こえるのですけど?」
「むっ、そう言われると妙に居心地が悪いな。」

 バツの悪い顔をする忠亮、それを見てクスクスと小さな笑いを零す唯依。

「ふふっ、冗談ですよ。いつか一緒に食べましょう。」
「楽しみにしているよ。」

 二人での何気のない会話、暖かな空気が其処にはあった。この穏やかな空気が、この旅行だけではなく―――もっと、ずっと…続いてほしい。
 軍人である自分にはこの時間は非日常に過ぎないのだ―――まるで覚めては消えてしまう夢のようなもの。

 だが、夢ならば―――叶えてしまえばいいだけの話なのだ。

「…………」
「なんだ?(おれ)の顔に何かついているか?」

 具体的にはソースとか青のりとか
 言わんとしている事が言葉にせずともひしひしと伝わってくる。それがまた妙におかしい。

「いえ、ただ私も変わったなって……私が本当にやりたいこと、見つかったかもしれません。」
「……その願いの先でお前は強く笑えるか?」

 真剣な眼差し、その問に篁唯依は本心から答える―――肯と。

「はい」
「そうか、なら(おれ)はそれを全力で応援しよう。」

 力強い言葉、が即座に却ってくる。自分だけが、みんな死んでしまったのに自分だけが幸せになってもいいのか?という一抹に残っていた疑念が、まるで残っていた根雪が解けて消えていくように感じた。

「それがなんなのか聞かないんですか?」
「お前を愛しているからな、幸ある路をお前が選ぶというのなら是非はないさ。」

「あう……忠亮さんは言葉が少し直接的過ぎます。……あむ」

 どストレートな言葉、直接的というより直撃的と言ったほうがむしろ正鵠を得ているのかもしれない。
 愛していると、言われて顔に血流が集まって縮こまってしまうのも無理ないことだろう。

 気恥ずかしさから逃げるように、というか正にそのままたこ焼
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