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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第46話 展望
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た。
「詫び寂びがあって……落ち着くいいところだな。」
私服に茶色のコートを着込んだ忠亮が景色を眺めながら呟く―――ひらひらと無い右腕の袖が風に舞う。
「はい、お天気がちょっと悪いのが残念ですけど。」
「月に叢雲、花に風……よくあることさ、だがそういうモノの中からも楽しみを見つけ出すのが人間の知恵ってやつじゃないのかな?」
朗らかにほほ笑む忠亮の傍に寄り添う唯依。さすがに東北は春先だというのに寒い。
しかし、このように寒い時の温泉は格別。これkら向かう先の旅館の温泉が少し楽しみになってくる。
「さて、そろそろ旅館に行くか。」
そういって忠亮が駅の改札口から荷物を持って歩き出す。
「あ、私が持ちますよ!」
「構わんよ、女に荷物持ちさせてる男は締まらんだろ?」
そういって自分が両手でようやく持てるような二人分の荷物を持ちあげてしまう。
「もう、強情なんですから。」
ちょっと困った表情で苦笑い、篁唯依はずっと見てきた。彼が歩けなくなってからどれほどの苦労をして今こうしているのか。
右腕だけではなく、右目や右足に内蔵のいくつかを失い。それらの傷が癒えた後の血反吐を吐くリハビリ。
彼が満足に動けるようになるのに半年掛かった。完ぺきではない技術故に歩けなくなる人も多い中、こうして一緒に歩ける―――ただ、それが嬉しい。
「ん?……たこ焼きか。」
ふと、漂ってきた香ばしい香り。目線をめぐらした忠亮がそれを見つける。
小さい屋台だ、だいぶ年期が入っているように見える。
「小腹も空いてきた、丁度いい少し食べて行かないか?旅館の送迎バスもまだみたいだしな。」
「はい、確かにちょっとお腹すきましたね。」
二人で屋台に足を向ける、屋台ではお爺さんが汗を流しながら丁度たこ焼きを焼いている。
「あの…」
「―――注文は?」
不愛想、その一言を濃縮したような言葉が声を掛けようとしたら帰ってきた。
「えっと……」
「六個入りを一つ、マヨネーズは端っこにお願いします。ソースはお勧めで。」
「あいよ。青のりはどうする?若い娘さんが歯に付けてたら台無しだろ。」
「じゃあ半分だけ頼みます。」
「あいよ。」
不愛想どうしで会話のテンポが合うのか、さっさと注文を細かい所まで決めてしまう忠亮とたこ焼き屋の主人。
自分が何も出来ない―――その無力感は非常に居心地を悪くする。
「ほれ、400円だよ。」
「あ、はい。」
空かさず財布から代金を取り出すと袋に入ったたこ焼きを受け取る。ソースの香ばしい香りが鼻孔をついて胃袋の虫を刺激する。
「って…あれ、このたこ焼き八個入り…?」
注文したのより二個多い
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