暁 〜小説投稿サイト〜
Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第46話 展望
[3/7]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
ゃあ、せっかくだ。いただきます。」
不安と期待から胸を高鳴らせる唯依が一部始終を見守る中、まずはと卵焼きに箸を伸ばし口にする。
「―――美味いな。ああ、本当に美味い。」
口から出たのは素直な感想、一部驚嘆の色を含んでいる。
本来、出汁巻き卵の出汁は使わない。水を使うモノだ―――理由は単純で、出汁を入れてしまうと卵の風味が出汁に打ち消されてしまうからだ。
その為、出汁を入れる出汁巻き卵というのは濃い味が好まれる弁当に入れられる物なのだ。
しかし、この卵焼きは出汁を可能な限り薄く味付けしており卵の風味を可能な限り残す味付けがされている。
素朴で優しい味付けだ―――しかも、卵焼きによっては中に刻みネギを入れたものや、縮緬じゃこ、刻んだニンジンを入れたものなどがある。
しかも、その入れたものに応じて微妙に味付けを変えて調整してある。
「良かった、忠亮さんに喜んでもらえて。」
裏のない率直な感想に胸を撫で下ろす唯依。その様子に安堵する。
サバイバーズギルトが無いとは言わないが、彼女は彼女なりに惨劇の記憶に向き合い、乗り越え、超克することが出来る人間だ。
己が心配することなど何もない―――ならば、
己
(
おれ
)
も楽しむとしよう。
もう、終わったのだから……約束を果たすため、いつか巡り合う
己
(
おれ
)
を救ってくれる誰かが生き残れる確率を上げるために、小を切り捨て大を救う。
そんな、正義の味方という機械に徹する必要はもうない。
之からは―――人間として生きていける。
「ああ、こんなに美味い料理は本当に久しぶりだ。」
「それはちょっと大げさです。」
忌憚のない感想に照れ臭さからか困ったように苦笑いする唯依。大げさなものか、ここまで食べる人を楽しませようとする食事は本当に久しぶりだった。
「これだけでも、来た価値があったよ。―――ありがとう。」
「なんというか、面と向かって言われると……照れ臭いです。でも、嬉しいです。」
はにかむ唯依の笑顔。―――ああ、今の笑顔はいい。
唯依が自分のために向けた笑顔、とてもきれいで悲しみの中に見つけた笑顔ではなく―――もっと何気ない、当たり前の笑顔。
「………」
その笑顔に思わず目を細める、口元が微かに上がっているのを感じる。――彼女の笑顔につられたのか
己
(
おれ
)
もほほ笑んでいたようだ。
「…………!」
だが、そうすると何故か唯依が行き成り赤面してしまう。
「ん?どうした、
己
(
おれ
)
の顔に何かついているか?」
「いえ!あの、そうじゃなくて……わ、私もお弁当食べますね!」
「変な奴だな。」
慌てて自分も弁当を食べ始める唯依に肩を竦めると、流れる景色を肴に
己
(
おれ
)
も再び箸を動かすのだっ
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ