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魔女に乾杯!
100部分:第九十九話

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第九十九話

               第九十九話   二人のピクニック
「ねえお姉ちゃん」
 信也が美樹に声をかけてきた。
「何?」
 彼女はそれに気付き今まで行っていた食器洗いを止めて弟に顔を向けてきた。
「今度の土曜何処かに行かない?」
「何処かって何処に?」
 彼女は弟に問い返した。
「ピクニックにでも。一緒に行かない?」
「ピクニックね」
 美樹はそれを聞いて考える顔をした。
「悪くはないわね」
「それじゃあ一緒に行こうよ」
 信也はそれを聞いて明るい声を出した。
「山の公園にでもさ」
「山の公園?」
「うん」
 信也は頷いた。
「二人で。どうかな」
「土曜日よね」
 美樹はここで壁にかけられているカレンダーを見た。
「丁度私も暇だし、その日は」
「じゃあ丁度いいね」
「いえ、待って」
 だが美樹はここで弟を一旦制止した。
「何かあるの?」
「準備があるから」
「準備」
「お弁当は。何がいいかしら」
「何でもいいよ」
 無邪気に姉に対して言う。
「どんなのでもいいから」
「そういうわけにはいかないのよ」
 だが彼女はそれをよしとはしなかった。
「大事なのよ、外で食べるものだから」
「そうなんだ」
「まあ任せて。腕によりをかけて美味しいものを作るからね」
「大丈夫だって、それは」 
 信也はまた無邪気な声で応えた。
「お姉ちゃんの作ったものはどれでも美味しいから」
「あら、お世辞?」
「お世辞じゃないよ。本当のことだよ」
 朗らかな声で言う。
「だって。いつも食べているからわかるから」
「そう」
 ここまで言われて悪い気はしなかった。姉としての優しい笑みを浮かべながら応えた。
「言ってくれるわね。じゃあ楽しみにしていてね」
「うん、土曜日楽しみにしているから」
「期待していて」
「うん」
 こうして土曜日二人でピクニックに行くことになった。姉と弟、二人はそれぞれその日が来るのを楽しみにしていた。


第九十九話   完


                2006・3・21



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