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世界をめぐる、銀白の翼
第一章 WORLD LINK 〜Grand Prologue〜
なのはA's 〜奪われた主〜
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焔に包まれる。


その姿はまさに「地獄の番犬」
冥界の神よりその任を任された三つ首の黒犬。
ならば、その身に焔をともそうともなんら不思議なことはない!!!


ケルベロスが猛烈な勢いで蒔風に突進してくる。
蒔風はそれを見、獅子天麟を鞘に収め、腰に帯刀する「火」に手を伸ばす。
荒い呼吸を沈め、目を閉じる。
五感を研ぎ澄まし、ケルベロスの迫る音だけを聞いていた。


そしてケルベロスが蒔風に到達する二十メートルほどのところで。


シュカン・・・・・・


という音が静かに響いた。


ケルベロスの身体が途中で凍ったように固まる。


蒔風が口を開く。

「・・・一閃・・・それは「一」瞬の「閃」光のごとき斬撃。ゆえにこの一閃に冠する名は在らず。なぜなら・・・これが「一閃」の極地だからだ。だた、「一閃」それだけでいい。鎌鼬切演武・単撃・・・・「一閃」」





パカァ・・・・

と、ケルベロスの身体が横に真っ二つに裂けた。
斬った瞬間など見えなかった。
斬られた感触もまた、なかっただろう。

それは最初からそういう形であったかのように、それが当然の形であるかのように、二つに分かれていった。
さらにその後方の雲が綺麗に斬られている。
上空では風は吹き荒れているにもかかわらず、斬られた後に雲が混じることはなかった。

ケルベロスの身体が消えていく。
蒔風が翼をしまい、地面に落ちていった。




「舜君!!!」

「舜!!!!」

なのはが叫び、クロノがバリアを解いて蒔風に駆け寄った。

「大丈夫か!?」

「はやては・・・どうした」

「・・・・連れていかれた・・・・闇の書と一緒にだ」

「チク・・・ショオオオオオオオオ!!!!!!」



蒔風の叫びが響いた。

少し離れたところで、ついにバインドが解かれたヴォルケンリッターやなのはも、悔しさに顔を歪ませ、その眼には涙が溜まっていた。





この世界は素晴らしい。
主人公はまっすぐで、敵ですらも美しい想いの持ち主だ。

友達のため、娘への愛情、主への忠誠、もう悲劇を起こさせないという決意。

ただ、この世界はあまりにも美しく。
そしてその純粋な想いゆえに、どこまでも残酷だった。




to be continued


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