第一章 WORLD LINK 〜Grand Prologue〜
なのはA's 〜やっとお話しができるの〜
[7/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
らみんなうちの家族や!!」
これには騎士たちも驚いた。
自分たちはプログラムだ。闇の書と主を守るためにだけ存在している、言わば道具。
今までも多くの主に仕えてきた。
そのどれも力におぼれ、強欲で、彼らの事など一切考えもしないような人間たちだった。
だが、そんな彼らに彼女は「家族」だと言ってくれた。
自分たちのために服を買ってくれた。
自分たちのために生活用具をそろえてくれた。
そして何より、自分たちのために笑ってくれた。
自分たちを意志ある「ヒト」だと認めてくれた。
初めての経験だった。
そして、それは騎士たちの欠けていた何かを埋めていった。
闇の書の蒐集に関しても主は
「それは人様の迷惑になるからダメ。このままのんびりみんなで暮らしていこな?」
と、言ってそれを許すことはなかった。
シグナムはある日聞いた。
貴女に望む物はないのですか?と。
それに少女はこう答えたのだ。
「望むもんはもう手に入ってもうた。こんな素敵な家族がおるのに、これ以上何を望むんや?」
少女には家族がいなかった。
両親は早くして他界。
今は父親の知り合いという親切な「おじさん」が、財産管理や資金援助をしてくれているだけなのだそうだ。
故に、彼女が望むものは「家族」だった。
そんな当たり前の風景を、少女は何よりも求め、そして手に入れることができた。
これ以上望むものなんて、あるのだろうか。
もう一人でご飯を食べなくてもいい。
もう一人で寝なくてもいい。
もう一人で買い物に行かなくてもいい。
それは幸せだった。
今はみんなでお話ししながらご飯を食べれる。
今は一緒に寝てくれる人がいる。
今は今晩の料理を話し合いながら買い物ができる。
そしてその幸せな生活に、騎士たちも確実に変わっていった。
すさんだ想いは穏やかに
乾いた心は潤い
つり上がり、いつもキツイ表情だった顔はいつの間にか笑顔になっていた。
帰れば幸せになれる場所がある。
笑顔でお帰りと言ってくれる人がいる。
いつでも主の笑顔が出迎えてくれる。
ああ・・・自分たちはもうあんな戦いの日々には戻らなくてもいい・・・・
今のこの幸せを守っていこう。
この主こそ、我らの求めた・・・・・・
だが、この世界はかくも残酷なものなのか。
少女の身体は蝕まれていた。
未完成である闇の書の膨大な力に、少女の身体が耐えられないのだ。
少女の健康どころか、まともな生命活動すらをも阻害する、呪いのプログラム。
このままではいずれ少女の全身を浸食し、死に至らしめてしまう。
これを防ぐにはたった一つしか方法はなかった。
闇の書を完成・安定
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ