暁 〜小説投稿サイト〜
世界をめぐる、銀白の翼
第一章 WORLD LINK 〜Grand Prologue〜
なのはA's 〜戦いの転機、狂気の叫びなの〜
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ートルはあろう岩場が、土砂崩れの後のように粉々に砕け散った。

さらに蒔風が首根っこを押さえつけ、地面に男を寝かせると、拳を振りかぶり、思いっきりそれで殴り潰す。
その拳は顔面ではなく、男の右腕を捉え、骨と肉を一つの塊にしてしまった。



「ぎゃあああああああああああああああ!!!!!!!!!」


男の悲鳴が響き渡る。

そして蒔風が鮮血に彩られて、瓦礫の中から出てきた。
男はその場に置き去りにされている。

蒔風の顔はもはや狂気に満ちていた。
いや、これもまた彼の顔の一つだ。

すべてを理解する彼は、狂気ですらもその身に宿す。

最高の理性に、最凶の狂気。
その二つを持ってすべてを理解する彼の、黒い部分がまさにこれだ。
もし彼と「奴」の立場が逆なら、おそらくこの姿になっていただろう。



そしてその姿にシグナムは戦慄した。
恐怖が体を駆ける。
全身の肌がざわつく。
すべての髪の毛が逆立った。

これは本当に小学三年生の少年なのか?
これはあの時軽快に笑いながら私たちと戦った少年なのか?


そのとき、シグナムの脳裏にあるフレーズが響いた。

《救世主にして破滅の者》

すなわち



「翼・・・人・・・・」

今なら信じられる。
この少年は間違いなく伝説の通りの人間だ。

いかなる概念にもカテゴライズされない、たった一人の存在。
すべてを理解するものであり、誰にも理解はされない少年。


その少年の後ろで、男が死にかけの声で言った。

「私に・・・・ダメー・・・を与えても・・・駄だ・・・」

そう言って男の姿が消えた。

「ど、どこへいった!!!」

シグナムがその姿を探し始めるが、もはや影も形もない。
そんなシグナムに、少年が声をかける。


「なあ・・・・ちっとつき合ってくれねえか?」

「・・・・なに?」

「あのバカのせいでプッツリとキててね・・・・あんたいわゆる一つのバトルマニアってやつだろ?だからさ」

蒔風がギチギチと話す。
その眼には、必死になって狂気を抑え込み、一歩手前で止まっているのがうかがえた。

「ちょっと、憂さ晴らしの相手してもらうぞ!!!!」

「くっ!!!!あああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」


「あはははははははははははははははははははははははは!!!!!!!!!」


シグナムが蒔風に突っ込んでいく。
そこで蒔風が感情を抑え込むのをやめた。

戦闘狂(バトルマニア)と狂戦士(バーサーカー)
タイプの違う、戦いに狂うものが衝突した。


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