SIDE:A
第二話
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烈な懇願。その強大な力を有しているからか、求愛されたことのない九尾は初めてのラブコールに戸惑いを隠せないでいた。
(よくよく見ればこの童、なかなか凛々しくも可愛らしい顔つきをしておるな……。この膨大なチャクラや結界術といい将来有望。妾を相手にここまで真っ直ぐ言葉をぶつけてきたのも見所があると言える、かの? そ、それに、女を見る目はあるじゃしな。わ、妾が欲しいなどと言いよるのだから……)
答えが出ないのかうんうん唸っている九尾。自身を拘束する鎖が消えているのにも気がつかない始末だ。
『……よかろう。汝の使い魔になってやろうぞ』
「本当――!?」
『ただしっ!』
ついに了承を得た! 喜色満面の笑みを浮かべ、今にも抱きつきそうな様子のハルトを睥睨し、威圧感を与える。
『汝が妾の主に相応しくないと分かったその時は、その血の一滴まで妾の血肉にしてくれるからな!』
「ん、わかった。肝に銘じておくよ。じゃあ名前教えて名前! っていうか、名前ある?」
目を輝かせるハルトに鼻を鳴らした九尾は仕方なくといった体で名乗る。
『九喇嘛じゃ。好きに呼べい』
「九喇嘛かー。じゃあクーちゃんだな!」
『く、クーちゃん?』
目をぱちくりとさせる九尾の九喇嘛。
「うん、可愛いでしょ! 改めて俺はうずまきハルト。これからよろしくね、クーちゃん!」
そう言ってニカッと笑んだハルト。二人を祝福するかのように魔法陣が強く輝きを放ち。
やがては二人を光の波が飲み込んだ――。
† † †
「おお、状況が動いた!」
ハルトと九尾が魔法陣に捕らわれてから五分が経過した。ヒルゼンの言うとおり、蒼白い光を淡く発していた魔法陣は次第に光を強めていき、やがて直視するのも難しいほど発光した。
手で光を遮蔽しながら陣の中がどうなっているのか確認しようとするが、目視は難しい。
「ハルトは無事なのか!?」
「ハルト……!」
不安げな面持ちのミナトたち。
魔法陣の輝きが収まり、辺りが再び静寂に包まれる。
固唾を呑んで見守る中、役割を果たした魔法陣の上には二つの人影があった。
「えっ?」
「ええっ!?」
「なんと……」
一人は愛する息子のハルト。ニコニコと愛らしい笑顔を浮かべてミナトたちに手を振っている。
もう一人は背の高い着物姿の女性。
赤と白のコントラストが映える色打掛を着た長身の女性。
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