SIDE:A
第二話
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「そのことなんですが……」
ハルトを降ろしたミナトは自宅で交わした時の会話をヒルゼンにも語る。
渋い顔で聞いていたヒルゼンだが、ミナト夫婦の強い要望とハルトの懇願に折れる形となった。
なにより九尾を里の外へ追いやったとはいえ予断は許されない状況だ。問答で費やす時間はないに等しい。
ちなみに両親が話し合っている隙にハルトは人知れず影分身を解いていた。影分身からの情報で奇跡的に死人はいないことに安堵の吐息が出た。
ハルトは原作で人柱力であるナルトが迫害されていた理由として、この襲撃事件で多数の死傷者が出たのも大きな要因だと思っている。そのため、ハルトが思い描く未来のためには死者を出さないのが大前提だったのだ。
「それでどうするんだい?」
「ここだとちょっと危ないから遠くに飛ばして」
「わかった。飛雷神の術!」
ハルトを抱えたミナトとクシナは九尾とともに、里から少し離れた山へ跳んだ。
『むっ? これは時空忍術か?』
場所が一瞬で変わり、困惑しているその隙に次の指示を出す。
「母さん、九尾を動けなくして!」
「わかったわ! 封印術・金剛封鎖!」
クシナの両腕から伸びた八本の鎖が地面を穿ち、四方から九尾を捕らえて雁字搦めにした。
その場で縛り上げられた九尾が怨嗟の声を上げる。
『妾の自由を奪いし女、うずまきクシナ……! おのれぇ、またしてもお主か!』
ギンっと切れ長の目と殺意を向けられたクシナは、悲しそうに表情を歪めた。
人柱力の彼女は前々から九尾と和解をしようと奮闘してきたが、九尾の怨恨を拭うことはできなかった。
心を痛める母を慰めるように小さく微笑みかけたハルトは拘束されている九尾の元に歩み寄った。
『なんだお主は』
軽い足取りでやってきた子供に九尾は怪訝な目を向けた。自分を丸呑みできるほどの大きさを持つ化け狐を前にしているのに、この子供は恐怖心の欠片も持ち合わせていない。それどころか好奇心のようなものを抱いているようで、「ふかふかだ〜」と目を輝かせながら金色の毛に触れている。拘束されているとはいえ簡単に命を刈り取れる相手にする態度ではない。
「……君が俺たちに怒りを向けるのは当然だし、こんなことするのは正直本位じゃないけど……俺たちの都合、俺のエゴのために」
――巳・亥・未・子・壬・申・酉・辰・酉・丑・午・未・丑・申・卯・子・亥・辰・未・子・丑・巳・亥・未・子・壬・申・酉……。
膨大なチャクラが小さな体から陽炎のように立ち上り、背後でミナトたちが小さく息を呑んだ。
「ハルト、君は……」
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