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露の空に
誘う月の
なかりしも
君を想わぬ
ことはなく
小夜も更けにし
侘しさに
心痛みし
身を抱え
名を呼びけるも
闇に消え
答えし風も
なかりせば
夢の中とて
逢えぬ間に
君の心は
流れゆき
我そ忘れて
恋しきし
人見つくると
思いなば
胸ぞ痛みて
哀しむも
罪と思いて
眺めしは
月隠れにし
小夜なれば
君なき里に
雨音ぞする
梅雨の空にはどんよりと雨雲がかかり、外へと誘う月明かりもない…。
だが、彼を想わない日はなく…夜も真夜中に差し掛かれば恋しさに心は痛み、この身を抱くことしか出来ない…。
彼の名前を呼んだとしても…それは夜の闇に消えゆくだけ…。
風が答えてくれようもないが…そんな風さえ私を見放したように吹くことがなければ、夢でさえ会えない彼は…私のことなぞ忘れるに違いない…。
きっと…彼は愛する人を見つけて…。
そう考えると、私は不相応にも…胸が痛くなり、悲しみが込み上げてしまうのだ…。
それは罪なのだ…そう自分を戒めて見上げれば、やはり月は雲に隠れ…辺りは漆黒の闇に閉ざされている…。
ここに彼はいない…愛しくて仕方無い彼は…いないのだ…。
夜の闇の中…雨音だけが静かに…響いているだけ…。
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