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詩集「棘」
いずれ消え逝く幻に

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月のない空…星が囁く
今なき人々の面影映し
遠き月日に思い流離う

何を嘆くか…?
 − 悲しき定め…
何処へと歩むべき?
 − 風の吹くまま…

想いは寄せて返す波のように
時に優しく時に激しく…

いずれ消え逝く幻に
希望を見出だすこともなく
昏き夜風と語らえば
静かな終わりを眺めしや…


緑輝き…鳥ははばたく
生を謳歌する初夏に黄昏
侘しさ負いて独り佇み…

心癒されず…
 − 日々にうつろい…
告げられぬ想いは…
 − 時に打たれて…

刹那の喜びは朽ち果ててゆき
新たな苦しみに苛まれ…

いずれ消え逝く幻に
願い躊躇い悔やみしも
朝の光に痛みしは
想うがゆえの過ちか…


罪人のように背を向けて
ただ一人…世を渡り…
残した足跡は誰より小さく
いずれは草木に覆われる…

いずれ消え逝く幻に
重ねし感情(オモイ)罅割れて
叶わぬ歳月(トキ)は獄へと
変わりし今日も愛おしき…

いずれ消え逝く幻に
君への想い打ち明ける
昏き夜風と語らいて
さやけき月影仰ぎ見ゆ…




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