第160話
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て揃えるというのが彼の信念らしい。
その為にならお金なんて必要ないとか。
既に接続手術は終え、リハビリを開始しているとか。
普通なら何日か安静にしておかないといけないのだが、これも愛穂自身が望んだ。
今頃、リハビリ室で汗を流しているだろう。
「彼女の努力と気持ちは凄いね?
あれなら、すぐにでも退院できる。」
身体は脳からの電気信号で動かしている。
つまり、その電気信号を機械で読み取り動かす事も理論上は可能である。
この学園都市ならそれを可能とするが、それでも通常のリハビリの倍以上はこなさないといけない。
機械がその電気信号を読み取って動かしても、それは生まれた時からあった手足ではない。
どうしても本物手足とは違いズレが発生して、うまく動かす事ができない。
要は慣れだ。
リハビリする時間や必ず思い通りに動かしてやるという気持ち。
これらを持ってリハビリするのが一番の近道だ。
その点に関しては愛穂は優秀と言えるだろう。
特に心配する要素もなく病院を後にしようと踵を返した時だった。
「ちょっとだけいいかい?」
後ろから声をかけられた。
足を止めて、再び後ろを振り返る。
「黄泉川君や吹寄君や芳川君に関する話だ。」
その言葉にピクリ、と反応する。
医者は言葉を続ける。
「彼女達の容体は少しずつだが悪くなっている可能性がある。
黄泉川君は今日の朝に診察に行った時は顔色が悪くなかった。
昨日の吹寄君や芳川君もだ。」
「何か容体が悪くなったのか?」
あの未知の魔術だ。
直接的な何か受けなくても、何かしらの異常が起こりうる可能性はある。
だが、医者は首を横に振る。
「僕が診察した所、異常な所はなかった。
となると精神的なものかもしれない。」
「精神・・・・」
ふと、あの猟犬を思い出した。
あんな冒涜的な生物を見たら狂ってもおかしくはない。
現にあの黒ずくめの男はあの猟犬を見て発狂した。
もしかしたら彼女達も精神的な何かがきているのだろう。
あれを見て何もなかったかのように過ごすなど無理な話だ。
「黄泉川君の方はこちらの方でケアしてみる。
君は彼女達を診てやってくれないかい?
最悪、黄泉川君も頼むことになるかもしれないけどね?」
「どうして俺なんだ?」
「理由は簡単だ。」
少しだけ笑みを浮かべて彼は言う。
「彼女達は君を頼りにしているからだよ。
君が傍にいるだけで安心する。
これ以上にないメンタルケアだと思うがね。」
度が過ぎると依存になってしまうけどね、と言い残して彼は病院に戻る。
彼の言葉を少しだけ考える。
自分が傍にいるのが一番のメンタルケア。
その言葉を頭に入れて、麻生は歩いて学校に向
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