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魔法少女リリカルなのは 異形を率いる男
10.決定的な変化
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入れていない。だがその動きがチーム全体の動きを左右している。一輝が攻めに出れば、自然にチームが攻めるようになる。守りに入れば守りの動きに変わっていく。
 その上一輝自身が状況に合わせ適切に動いているため、面白いように試合展開が翠屋JFCに有利に動いていく。
 相手チームも何とか抵抗しようとしていたが、そのまま押され、結局4対0の圧勝という結果に終わった。

「なんだかんだ言って結局、一輝って何でもできるんだよな」

 そんな言葉が、試合後の会話に上がった。
 
「何でもはできないぞ。神様じゃないんだからな」

 一輝はそう冗談交じりに言う。
 だが、その言葉は神がいる事を実際に知っているためか、冗談交じりに言ったにも関わらず妙に現実味を帯びていた。
 
「確かに何でもできたら神様としか言いようがない……」

 その言葉を言っていた夜市の意識は後半以降、別の事に向いていた。
 その相手は一輝と同じチームに所属しているチームの中で最も目立っていた少年だった。
 夜市の意識がその少年の方に行った理由は彼がなのはや夜市が探している代物である青い菱形の宝石の形をした膨大な魔力の塊ジュエルシードを手にしていた事にある。

「どうした?」

 夜市の目線の先を見ながら一輝は尋ねる。
 その声にはジュエルシードを見つけた様子は感じられない。

「あそこに居るお前のチームメイト。あいつがジュエルシードを持ってた」

 その言葉を聞いた瞬間に一輝は何かを思い出したように「あ」と、言う声を上げ、心底居心地の悪い顔になった。

「何か知ってたのか……」

 夜市は溜め息交じりにそう言った。

「いやさ、あいつっていい感じの関係になってる彼女がいるんだけど、試合前にそいつに今朝拾った綺麗な石……渡すって言ってた……」

「お前ってアニメは見てたんだよな?」

 一輝は無言で頷いた。

「それでそこまで露骨なこと言ってて気付かなかったと、そう言う事か?」

「い…いや、そんな9年も昔のことを覚えていろという方が無茶なのでは……」

 一輝自身は苦し紛れで言ったのかもしれないが、その言葉は意外にも正論に近いものだった。

「確かにそうだな。まあいいだろう」

 夜市はそこで一旦、言葉を切り、

「で、どうすんだ?」

 と、短く本題に入った。

「どうすんだも何も、どうしろと言うんですか?あいつにいきなり『それは危ない物だから渡してくれないか?』とでも言えと?」

 一輝の言葉には諦めの様なものを夜市は感じた。

「何も対策、煉ってないんだな」

 その言葉を言った後に夜市は深くため息をつき、ポケットからあるものを取り出した。
 その手に握られていたものは青い菱形の宝石だ
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