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魔王に直々に滅ぼされた彼女はゾンビ化して世界を救うそうです
第10話『決意の夜』
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遂出来るかなど怪しい。
彼女
(
メイリア
)
が居るとはいえ、その事実は覆らない。何もかも足りない未熟者の自分と同じく、彼女もまたその腕は未熟だ。
けれど、それで良い。
完璧な人間でなくたって構わない。
ただ、スィーラの崩れかけた心を支えてやれるのならば。
今思えば、生まれてこの方誰かにここまで固執するというのは初めてだっただろうか。
この胸の内に宿る形容し難い何かに名を与えるとすれば、何と呼べばいいのだろう。
今、この心は、この魂は、その隅々、奥底から彼女の未来永劫の幸福を願っている。
少なくとも自身の記憶には、この感情に当てはまる『名』はたった一つしか知らない。
確信している。自身が抱くこの今の願いも、絶対に未来永劫変わる事はないのだろうと。
きっとこの身は、彼女が救われるその遥かな刻まで。
「──愛してる、スィーラ」
──彼女と共に、生き続ける。
◇ ◇ ◇
「──……。」
パチリと。
先程から絶えず襲ってきていた眠気を押し返して、重い目蓋を開ける。
横を向いて寝転がっていたこの目の前には、自身の手をしっかりと握ってベッドに上体を投げ出し、静かに眠る少年が居た。その湿った手はとても冷たくて、冷え切ってしまったらしいその唇は少し青紫色に染まっていた。その顔は少しやつれていて、それが自身が原因であると知っている故に、見ていると心が痛む。
背後に目を向ける。そこにはあの街で会ったきりだった金髪の少女が居て、その体に纏う見た事もない黄金の法衣は、彼女にとても良く似合っていた。
薄いピンクの髪飾りは少し湿気っていて、法衣の肩口に留められた裾の短いマントは上部が僅かに黒っぽく染まっている。その殆どは乾いているのだろうが、彼女の法衣もまたジーク程ではないが濡れていた。
外の豪雨の中、泣き疲れて眠ってしまったジークと自分を運んで来てくれたのだろうから濡れているのは当たり前なのだが、やはりそれを見ると「ごめんなさい」と謝りたい気持ちも出てきてしまう。彼女はきっとそんな言葉を求めないだろうし、困ったように笑うだけだろう。
二人には悪いとは思ったけれど、話は途中から聞いていた。
きっと彼が知れば、恥ずかしがっていただろうから。
未だスィーラの心の奥にはこれからずっと色褪せないだろう、深く、冷たい傷跡が残っている。
けれど、その傷が広がっていく事は無く、少しずつ──ほんの少しずつではあるが、傷は暖かく包まれていく。
人の事が好きだという気持ちは未だ変わらない。
アレは決して、悪意から始まった事ではないのだ。
その心情は分かって
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