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魔王に直々に滅ぼされた彼女はゾンビ化して世界を救うそうです
第10話『決意の夜』
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生まれたような『
復讐心
(
ソレ
)
』とは違う、一人の人間として『友達を悲しませた最低な人々』への純真な怒り。
メイリアはその怒りを胸の奥へと追いやり、平常心を取り戻す。仕切り直すように咳払いしてジークを真正面から見据えて、改めて問いを投げる。
その姿には何時ものような気楽なオーラは一切在らず、この瞳には、たった一人の友人の為に心を決めた一人の強い人間の姿が映る。
「街を、出る気なんでしょ?スィーラと一緒に」
「……ああ。きっと、行く先々でも良い顔はされないだろうな」
自嘲するように笑みを浮かべる。眠りの底に居るスィーラによって無意識に握られていた左手を、しっかりと握り返す。メイリアもまたベッドの反対側に回り、その真っ白で艶やかな髪を撫でた。
穏やかな顔で幸せそうに眠りこけるスィーラを見つめて、しかし反対に暗い声音でメイリアはジークの予想を肯定する。
「でしょうね。でも、これ以上
ここ
(
ヴァリアゾード
)
に居るよりはマシだわ」
兎に角今は、誰もが彼女を苦しめるこの近辺にこれ以上、心を蝕まれて衰弱してしまっているスィーラを居させたくなかったのだ。
それに、魔族の目的も未だ分からない。奴らは確実にスィーラを探していた。ジークの脳裏には、あの時の黄金の魔公が言っていた言葉がしっかりと焼き付けられている。
W──あやつの予言通りという訳か……ハッ、踊らされているというのも不快だが、仕方あるまい。あの死徒は何処にいる?──W
W──上の命令でな、あの娘にはこの街に居って貰わねば困るのだよ。──W
予言。上の命令。この街に居て貰わなければ困る。
三つのキーワード。予言通りという事は、この結末を奴らは既に知っていたという事。そして上の命令という事は、あの魔公が上下関係のある社会に属している――つまりは、魔王軍の一員である事を証明している。
そして最後、『この街に居て貰わなければ困る』という発言。
W──全く、上も悪趣味な事を考える──W
もしアレが──あの残酷な光景が奴らの目的なのだとしたら。
もしもあの地獄へ彼女を陥れる為に奴らが侵攻をしたのだというのなら。
その意図は全く以って理解出来ない、その意図は全く以って把握出来ない。けれども、胸の内に次々と沸く無尽蔵な殺意だけは感じられた。
しかし、今の自分の力では魔族全体と戦うなど到底不可能なのだ。
実力が足りない。
経験が足りない。
魔力が足りない。
才能も足りない。
オマケに一部の人間だって敵に回した。
だから、逃げる。彼女がこれ以上不幸の底へと貶められないように、その小さな手を引いて逃げ続ける。
このちっぽけな人間にできるのはたったその程度の事で、それすらも無事に完
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