20話
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?」
「……っ!」
「……たっちゃん先輩?」
楯無は笑顔のままではあったが目は微塵も笑っていない。むしろ冷たい炎が奥底で燻っているようにも感じられる。一夏の言葉次第では、一夏を見逃さないと言っているようにも見えた。鬼一は初めて見る楯無のそれに小さく、疑問の声を漏らした。
「……どうやらキミ自身も気付いているみたいね。いえ、誰かに教えてもらった、という方が正解かしら」
一夏が零落白夜の危険性を気付いていることに対して、楯無の口調には苛立ちすら感じられた。鈴から感じられる鋭い視線など気にもしない。
「どういうことですか先輩?」
「簡単よ。零落白夜の特徴を思い出して」
鬼一からの質問に対して楯無は一夏を見据えたまま、機械的に鬼一に質問を返す。その質問に鬼一は慎重に言葉を選びながら答えを口にした。
「……零落白夜はシールドバリアを突破し直接操縦者に攻撃して絶対防御を強制させる、という特性のことですか?」
「そうよ。でもこれって究極的なことを言えば確実に人を殺す兵器とも思えない?」
「……あぁ」
楯無のその言葉に鬼一は理解した。同時に自分がどうしてそれに気づけなかったのか、そのことに対
しての疑念が混ざった声になってしまう。
「……ですがあの零落白夜は織斑先生が第一線で活躍なさっていた時から、その危険性は存在していたはずです。今まで話題に上がらなかったのは何故なんでしょう?」
「織斑先生が現役の時は、ハッキリ言って今以上に殺伐としていたのが大きな原因だと思う。あの頃はまだISがスポーツ利用ではなくて軍事利用が大半を占めていたから」
今でこそISは条約によって軍事利用が禁止されているが、条約が制定されるまでは本格的に軍事利用する動きが強かった。
その後早い段階で条約の締結まで持ち込むことになったが、公ではなく水面下での活動までを押さえることは叶わなかった。零落白夜に制約を設けられていないのもその1つだからだ。
「IS学園だけではないですけど、IS使用時は原則予備のエネルギーパックを格納もしくは外付けしているから明確な殺意がない場合、殺される危険性がなかったってのも考えられますが」
IS学園だけの規則ではなく非常事態に備えてあらかじめエネルギーパックを格納しておくか、外付けタイプが自動的に作動するように決められている。エネルギー切れによる事故や操縦者の怪我などを防ぐ目的がある。
「予備があってもなくても危険性は変わらないんだから制約は必要じゃないかしら。そもそも同じ能力が出てくる、という考えなんて微塵もなかったと思うわよ。ISには謎が多過ぎるからそれくらいは考えるべきだったと思うんだけどさ」
そこで初めて鈴が口を挟む。彼女も零落白夜の危
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