20話
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って命は惜しいんですよセシリアさん!」
妄想が加速していくセシリアに対して鬼一は遠まわしに否定する。楯無の恐怖が身に染みているからこその発言でもあった。楯無やセシリアのいう『あんなことやこんなこと』と鬼一の中での『あんなことやこんなこと』が微妙に食い違っているのも原因だろうが。
「だから鬼一くん? さっきから何気に私のことをディスってない? おねーさんだって傷つくことがあるのよ?」
楯無のぼやきはやはり2人の耳には届いていない。もはや2人の頭の中に楯無の存在があるかどうかも定かではなかった。セシリアは鬼一に対して追求を、鬼一はセシリアに対して弁解をどうするか。そのことしか考えていない。
「いや、いやちょっとこれに関しては……セシリアさん落ち着いてください!?」
感情がヒートアップしたセシリアが鬼一の両肩を掴む。そのあまりの力に思わず鬼一は顔を僅かに歪ませた。
セシリアは代表候補生に相応しい身体能力を有しているのだ。その予想外の力強さに鬼一が顔を歪めても何の不思議もない。
「落ち着いていられませんわ! 年頃の男女が同じ部屋で生活しているなど……日本人の貞操観念は他国に比べて低いと言われていますが、まさか鬼一さんと生徒会長が……!?」
鬼一にとって理外の言葉。そこで初めて鬼一はセシリアが自分の予想よりもマズイ勘違いをしていることを悟る。そこまでの状態ならば余程の衝撃のある言葉をぶつけないと、セシリアは止まらないと鬼一は感じ取った。
「……僕には好きな人はいるんですよ!」
「……あら?」
「……え?」
鬼一の言葉に楯無は手が止まり、セシリアは冷水をぶっかけられたように動きを止めた。同時に荒ぶっていた感情が鎮火する。
追求される前に鬼一は話の本筋を戻す。じゃなければ追撃が待っているのは明白。
「……とりあえず頭は冷えてくださったようなので、お話を聞いてください。ネタにも笑い話にもならない話ですけど」
―――――――――
「そ、そうでしたの。更識生徒会長は護衛……。ということは織斑さんや篠ノ之さんにも?」
楯無の向かいに座ったセシリアは鬼一と楯無の説明を受けて恥じるように1度だけ顔を伏せた。そしてすぐに浮き出た疑問を楯無に投げかけた。
「あっちには複数の教員が交代で、それと専門の人間がすぐに対応できるような状態にしてあるわ。そっちの方に人員を割いてて鬼一くんには割けない状態だから私がついているのよ」
「……理屈としては分かりますがもう少し、やりようはなかったのですか更識生徒会長?」
理屈は分かるが感情面ではまだ納得が納得出来ていない様子のセシリア。自分が信頼している人間がまさかの不埒疑惑なのだから、仕方ないと言えば仕方ないが。
「
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