20話
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守ることも出来る。だけど人を殺す危険性も多分に含んでいることは理解して欲しいの」
楯無も零落白夜を使うな、とまでは言わない。ただし、その使いどころを間違えるなと釘を刺しているのだ。少なくともスポーツで収まっている内は使う必要はないと。
「……はい」
沈んだ一夏を横目に鬼一は立ち上がった。トレーの上の食器を綺麗に纏め持ち上げる。
「とりあえず、一夏さんは落ち着いた方がいいですね。それと一度結論が出るまではISを用いたトレーニングは止めましょう。今の状態でやったところで危ないだけですし」
その言葉に鈴とセシリアは頷く。一夏どころかその模擬戦の相手も巻き込む問題である以上、迂闊なトレーニングも出来ないのは明白。
「さてと、僕はお先に失礼します。少々疲れもあるんで」
口早に告げ、鬼一は背中を向けて歩き始める。セシリアや楯無は心配そうに見ていたが追いかけることはしなかった。2人から見て鬼一の様子は明らかにおかしかった。見かけ以上に疲れているなのは考えるまでも無かった。
「……なあ、きい……」
「一夏」
それに唯一気づかなかった一夏が鬼一を呼び止めようとしたが、その前に鈴が一夏を静止させる。
「……涼しい顔してるけど、あいつも限界スレスレよ。これに関してはあいつを必要以上に巻き込む必要はないわ」
「……わかった」
―――――――――
「……っぶね」
自室に戻った途端、限界を迎えてしまった身体はドアに預けることになってしまった。ISを展開している時は気にならなかったが、鬼神を格納した瞬間に言葉に出来ないほどの疲労が全身を蝕んだ。それだけでISの機能の凄まじさの一端を理解させられた。
はっきり言って食堂に行くのも食事を取るのも、みんなと会話するのも自室に戻ってくるのも全部が気が遠くなりそうになるほどの重労働だった。途中、記憶が曖昧の部分すらある。
「―――はぁ……」
そのままズルズルと腰を地面に下ろす。下ろし終えた瞬間、溜息が溢れた。IS学園に来てから初めての溜息のような気がする。自分が思っている以上に疲れているかもしれない。
……マズイかもしれない。いや、本当にマズイ。明らかに自分がおかしくなってるような気がする。なんで、なんで気づかなかった?
零落白夜の危険性を。
少し考えれば気付くはずなのに、なんで、なんで何も気づかなかったんだ? 疲れていた、だけで片付けるにはおかしい。そもそも、自分の疲労を感じ取れないほど僕は自己管理の出来ない人間じゃないのに。
……身体と心のバランスが取れていない、ということか? まいったな。少なくともこれが続くとどこかで破綻する。いや、もしかしたら破綻しかけているその途中なのかもしれない。
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