20話
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自分の失言に気付く鬼一。セシリアの前だということは理解していたのに、楯無とのやり取りまで気を遣うことは出来なかった。というよりも楯無の発言を止めることが出来なかったというほうが正解か。
「あれ? 言わなかったっけセシリアちゃん? 私と鬼一くんが同室で日夜、あんなことやこんなことをしてるってこと」
疲れていても人をからかうことは忘れない楯無。その意地の悪さに鬼一は目を見開く。
「な……!」
一瞬、言葉を忘れる程の衝撃を受けるセシリア。余りの衝撃に身が慄く。開いた口を隠すように右手で隠したが、その右手は震えている。
「鬼一さん! どういうことですの!?」
「ち、ちちち、違いますセシリアさん! 完全に誤解です! 濡れ衣っ!」
掴みかからんばかりの剣幕を宿したセシリアが鬼一に詰め寄る。その鬼気迫る表情に鬼一は思わず気圧され、セシリアのテンションに引きずられたように自身も声を張り上げた。しかし、セシリアには鬼一の言葉に更にヒートアップする。
「何が誤解ですのっ!?」
「たっちゃん先輩と日夜、あんなことやこんなことなんてしているわけないでしょう!? もし、していたら僕は今頃土の下ですよ!」
鬼一自身も冷静さを失っているのか、遠まわしに楯無を貶めるような言い回しをしてしまう。
鬼一のその言葉に楯無は眉を顰める。口元は笑っているが予想外の言葉を受けてショックを受けているようにも見えた。
「……鬼一くん、何気にひどくない? 私のことをなんだと思っているの?」
楯無のそんなボヤキは2人の耳には届いていない。掴みかかりかねないほどの迫力を宿したセシリアに防戦一方の鬼一。
「ま、お待ちください鬼一さん! それでは、それでは同室という部分は誤解ではないということですか!?」
「いやいやいやいや! ……あれ?」
否定しようと思ったが、冷静に考えて否定出来る要素がないことに気づいた鬼一は思わず首を傾げる。
あんなことやこんなことはしていないが同室は否定出来ないことを。
そんな鬼一の様子にセシリアは後ずさる。まさか鬼一がそんなことをするような男性に見えなかったからだ。
「ふ、不潔ですわ鬼一さん! うら若き乙女と同室だなんて……!」
「だ、だから違うんですってば! これにはマジで深い意味が……っ」
何が違うのか鬼一自身も理解していない。だが、ここで引き下がってしまえば自身にとって不名誉な烙印を押されてしまうということだけは理解している。
鬼一も無意識ではあったが同室そのものは否定せずに、どのようにしてセシリアを落ち着かせるために理由を説明しようか必死に考えていた。
「ま、まさか更識生徒会長と将来を近いあった仲なのですか……!?」
「僕だ
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