Chapter U:Xenogenesis
第08話:desiderantes
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だったが、ベートとアイズはそれでも警戒を解かない。いや、解けない。今までの経験則が、今までで最大級の強敵を前に警戒しない事を許さないのだ。
「まあ、警戒するならするで構わん。どうやらうちのバカ弟子の治療もやったらしいな。」
礼だ。と言ってエレオノーレが放ってきた小袋を、ベートが慎重にキャッチする。そして、中身を見たベートは思わず瞠目した。
小袋の中身は最高品質の万能薬が3本。これだけで普通に一年は暮らせる額だ。たかだか回復薬一つ使った治療の御礼にしては破格すぎる。
「ああ、値段の方は気にする事は無い。懐具合も厳しいだろう?」
確かに、今回の遠征で多数の武器を失い、50層からとんぼ返りしてきた【ロキ・ファミリア】は懐が厳しいと言えば厳しい。しかし、目の前の女が何故、それを50層から一直線に帰ってきた自分たち同様に知っているというのだ。
「では、これで失礼させて貰うよ。」
「っ、待てこのやろ!」
「――!」
そして、ベルを抱えて立ち去って行くエレオノーレを止めようと、ベートとアイズが掴みかかろうとした次の瞬間――
「なっ!?」
「っ!!???」
いつの間にか二人の背後にいたエレオノーレが、2人の首を掴んでいた。ベルを器用に抱えたままで、だ。
「別に貴様らが何を考え、何を行おうが別に構わん。だがな――」
弁えろ、と耳元で囁かれたたった一言に、首を掴まれていた手が消えた後も二人はその場から動く事が出来なかった。
???
その日の夜、ラインハルト達黒円卓のメンバーはホームの円卓に座り会議を行っていた。
「――以上、ベル・クラネルについては神ヘスティアに預け、現在は安静中です。」
「ご苦労。ミノタウロス三匹相手に無事に逃げおおせたようで何よりだ。」
エレオノーレの報告が終わり、ベルが無事にヘスティアの元へ送り届けられた事に安心するラインハルト。原作と違い、ベルがアイズから逃げなかったことが少々気がかりではあるものの、概ね原作通りに事が進んでいるとみて良いだろうとラインハルトは判断した。
「ハイドリヒ卿。わざわざ神ヘスティアにベル・クラネルの負傷を報告する必要があったのでしょうか。」
エレオノーレは勿論ラインハルトの指示には従うが、ベルを心底溺愛しているヘスティアの様子を見て、今後の活動に支障が出るのではないかと危惧していた。具体的には、ヘスティアがベルのダンジョンでの活動に口出ししてくる可能性を考慮していた。
「確かに、卿の心配は尤もだ。しかし、それ以上に神ヘスティアは己が眷属の力になりたいと考える筈だ。おそらく、近日中には動くだろう。」
「ハイドリヒ卿がそうおっしゃるので
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