Chapter U:Xenogenesis
第08話:desiderantes
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ズの攻撃開始と同時に前に出てしまい、デスペラートの切先が少年の防具を断ち、浅く少年の肩を切り裂いてしまったのだ。
「おいアイズ!ミノタウロスは!」
「…倒しました」
「そいつは何だ。」
「襲われてた。」
「ははっ、何だそれ。トマトみてえな面構えになってやがる。」
ベートがいつも通り毒を吐いている中、アイズは先程の少年の動きを頭の中で検証していた。
「(明らかに、レベル1。)」
それは間違いない。パワーも速度も、間違いなくミノタウロスの前で見せたものはレベル1相当のものだった。
「(でも、一番前のミノタウロスを躱した。)」
この少年は二匹目のミノタウロスにやられただけ。ならば、ミノタウロスがもし一匹だけだったなら。もしかしたら無事に逃げおおせていたんじゃないのか。
アイズが思い浮かべたのは、少年がミノタウロスの最初の攻撃をいなしたあの動き。レベル1で出来るものはまずいないだろう。レベル2でも大半のものは無理だ。でも、この少年はやった。
レベルとステータスに合わない技術の持ち主。
今でこそ【剣姫】と言われているが、アイズがそれを出来るようになった時ですら冒険者になってから数年経った時であった。駆けだしの冒険者が使える程簡単なものじゃない。
そして何よりも、明らかにレベル差がある格上相手に勝負を挑んだその『勇気』。アイズの普段の無茶無謀とは一線を画した別種のそれは、アイズには全く分から無いものだ。
「(あなたは、何で強いの?)」
少年の側にしゃがんでじっと少年を眺め続けるアイズをベートが怪訝そうに眺め、そろそろ声をかけようとし――
「ふむ、【ロキ・ファミリア】の第一級冒険者か。うちのバカ弟子が世話になったな。」
「「っ!!??」」
アイズとベートの知覚外から、そして間合いの内側から聞こえてきたその声に、2人は思わず距離をとって武器を構えた。
2人の目の前に立つのは、黒い服を着た長身の女性。紅蓮の赤毛を後ろで纏め、半分焼け爛れたその顔が彼女の印象を余計に厳しく見せていた。
だが、それよりも先に二人が気にしたのは、自分たちが気づく間もなく間合いに入られていたというその事実。そのような芸当が出来るものなど2人は知ら無い。それこそ、フィンでも無理だ。
「てめえ、何者だ。」
警戒心丸出しでベートが問う前で、目の前に立つ女性は地面に横たわる少年の状態を確認している。明らかな無防備。だが、そこへ飛び込んで勝てるヴィジョンが浮かばない。圧倒的な力量差を肌で感じてしまったベートは思わず唸る。
「ふむ、先程言った通り、このバカ弟子の師匠をやっているものだ。警戒する必要はないぞ。」
そんな二人に対し、あくまで淡々と述べる女性――エレオノーレ
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