Chapter U:Xenogenesis
第08話:desiderantes
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「うわあああああああ!!!!」
何とか自分と相手の間にナイフを挟み込む事で防御に成功するも、宙に浮きあがったベルが踏ん張ることなど出来る筈も無く、袋小路の最奥の壁まで吹き飛ばされる。
地面を数回もバウンドして壁に背中を打ち付けた衝撃でナイフはとっくに手元を離れ、上半身を奔り回る衝撃が動くことを許さないせいで予備のナイフすらまともに握れない。何より、視界一杯に光がチラついてまともに上下の感覚すら分から無い。
だが、それでも意地でミノタウロスがいるであろう方向から目を離さなかったベルは何が起きたのかを数秒間かけて理解した。
「(蹴り、跳ばされたのか...!)」
一体目はおそらく完全に抜けたのだ。だが、瞬時にその後ろにいたミノタウロスがフォローに入ってベルを蹴り飛ばし、一撃を振るったのだ。
「(立たなくちゃ...)」
最早ベルにたいした力は残っていないと思っているのか、ゆっくりと近づいてくるミノタウロスを前に、よろめきながらも立ち上がるベル。壁に片手をついて支えにしながら、ホルスターからナイフを抜き取って構える。
『ヴォオオオオオオ!!!』
「死んでたまるかぁッ!!!!」
そしてミノタウロスが最後の一撃を振り下ろす瞬間、ベルもミノタウロスの懐へと飛び込んだ。
次の瞬間――
「ヴォオオオオオオ!?」
「がっ!!?」
目の前のミノタウロスが一斉に血飛沫を飛ばしながら四散するのと同時に、ベルの右肩に衝撃が奔り再び壁へと吹き飛ばされた。
四散したミノタウロスの血飛沫を浴びながら、肩から血を流しつつも呆然とするベルの目の前に、美しい金髪を靡かせて金の瞳を輝かせた少女がとん、と着地した。
「(助けて、貰った…?)――いッ!」
そして漸く助けが来たのだと理解した瞬間、全身に激しい痛みが奔る。特に血を流している右肩の痛みは筆舌に尽くし難い程で、ただ悲鳴はあげまいと歯を食いしばるしかできない。
「ごめんなさい、大丈夫ですか?」
そして、そんなベルに向けてアイズが手を差し伸べるも、ベルにはその手を取るような余裕は無い。ただただ、目の前で此方に手を差し伸べる彼女の美しい顔を見ながら、意識を手放すのだった。
???
「あっ...」
アイズの目の前で白髪の少年が力が抜けたように倒れ込む。慌てて少年の元へ一歩を踏み出し、地面に少年の身体が打ち付けられるのを防ぐ。
そしてそっと少年を地面に横たわらせると、所持していた回復薬を少年に浴びせかける。徐々に治っていく傷口を見て、アイズはホッと息を吐いた。
実を言うと、少年の肩の傷はアイズがつけてしまったものだ。
アイズからみても危ない状態で動けないと思っていた少年が、アイ
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