Chapter U:Xenogenesis
第08話:desiderantes
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がすな!追え!」
そして遂には本来はミノタウロスが存在しない『上層』へとミノタウロスが行ってしまう。
12階層、11階層、10階層――。
周りの団員たちがミノタウロスをどんどん駆逐していくも未だに逃げた数に届かない。アイズの速度が加速する。
9階層、8階層、7階層――。
「うわああああああ―――!」
「――!」
「上か!」
【ロキ・ファミリア】の中でも随一の俊足を持つアイズとベートの二人が悲鳴を聞きつけて6階層へと向かう。そして走り続けた先に見える三体のミノタウロス。その奥に見える白い髪の毛。
「(助けなきゃっ!)」
最高速へ到達したアイズは愛剣、デスペラートを引き抜くとミノタウロスへと突進したのだった。
???
「(逃げろ逃げろ逃げろ!!!)」
一体どれだけ走っただろうか。一日か、いや、一時間か、もしくは10分しか経ってないのか。ひたすら全速力でダッシュを続けているベルには時間の感覚は無い。本来ならばとっくに追いつかれて殺されているところをこうして今も逃げ続けられているのは一重にエレオノーレのしごきに耐えて特訓を続けてきたからに他ならない。
だが、走り続けられる事と逃げられる事がイコールでは無い。
「(行き止まり!しまった!)」
目の前にはこれ以上先が無い事を示す袋小路。慌てて後ろに戻ろうにも、先程の分岐点には既にもうミノタウロスが到達している。つまりは鬼ごっこ終了である。
「(いや、まだだ!)」
こんなところで死ねないのだ。まだ二つ名も貰ってない。まだ一度も冒険らしい冒険をしていない。まだ一度もラインハルト達に恩を返していない。こんなところで諦められないのだ。
ベルを追い詰めた事でミノタウロスの足が止まる。その姿は獲物を追い詰めて遊んでいる捕食者のそれだ。
そのミノタウロス相手にナイフを構える。
「〜〜〜っ」
ミノタウロスの猛攻が始まる。通路の広さの関係上三体同時に攻撃はしてこないが、それでも一体だけで大きな脅威としてベルの前に立ちはだかる。しかもベルに退路は無い。
ミノタウロスが振るう天然武器が轟音と共に振るわれる。左側から斜めに振り下ろされるそれを側面にナイフを滑らせる事で受け流すと同時に相手の側面へと回りこむ事に成功する。この二週間強でエレオノーレから散々仕込まれたナイフの扱い方を、身体が覚えていた。
「(抜けた――!)」
無防備な体勢のミノタウロスの脇腹へ向けてナイフを突き刺そうとした瞬間、ベルの腹部に大きな衝撃が奔る。
「がっ!?」
そして大きく仰け反ったベルの身体に向けて後方にいたミノタウロスが武器を振り下ろす。
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