第十四話 それでも姉妹
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「それに四人ともずいぶん性格も違います。榛名は榛名ですし、金剛お姉様は金剛お姉様、比叡お姉様は比叡お姉様、霧島は霧島なんです。他の誰でもありませんし、他の誰かが誰かの代わりになることもできません。でも・・・・。」
榛名はにっこりした。
「姉妹っていうだけで一体感があるように思えるんです。かけがえのない大切な存在。榛名はそれだけで十分だと思います。」
さあっと心地よい涼風が二人の間を吹き抜けた。
(大切な存在・・・まだまだ私の心の中にはそういう意識はないけれど、でも・・・・。)
紀伊は思い起こしていた。初めて讃岐と出会った時のこと、初めて近江と出会った時のこと、そしてこれから出会うであろうもう一人の妹の事。讃岐はああいっていた事が思い起こされる。とても不安だ。けれど、それを全部ひっくるめて――。
(私たちは姉妹なのよね。間違いなく。)
そう思ったら、じわりと安堵の気持ちが広がった。これまで一人ぼっちだったけれど、こんな自分にも姉妹がいる。紀伊は仲間ができた時とは違った気持ちに包まれていた。
「違って当たり前、それでも姉妹、なんです。それでいいのではないでしょうか。」
榛名の言葉に紀伊は大きくうなずいていた。
「夕立ちゃん。怖くないのです?」
ひときわ大きな桜の木の根元にシートを広げて座っているのは駆逐艦娘たちだった。大きなお重はさっき間宮から運び込んだものだ。それを広げて食べながら大食い選手権を観戦したり、出し物を見たりして楽しんでいた。その折にふと電が夕立に聞いたのだ。
「う〜ん、わかんないっぽい。」
夕立は他人事のように首をかしげている。
「どうして?」
「だってこれから行くところにはおっきなおっきな深海棲艦がいるって聞いたのです。それなのに私たち、一緒にいけないのです。夕立ちゃん、一人で――。」
「私は一人じゃないっぽいよ。」
夕立がにっと笑った。その笑顔にはこれまでにないもの―自信だろうか――がうかんでいる。彼女は先日改装を受けて、改二になったばかりだった。
「赤城先輩、加賀先輩、榛名先輩、霧島先輩、それに紀伊さんが一緒だもの、怖いものなんかないっぽい!」
「それにあちらには夕立さんのお姉さんの白露さん、村雨さんがいるって聞きました。久しぶりに会えますね。」
と、綾波。
「うん!綾波ちゃんはそういえば寂しくないっぽい?そういえば敷波ちゃんは横須賀鎮守府にいるっぽいよね?お手紙もっていってあげようか?」
「そうですね・・・。」
綾波は手に持っていたおにぎりをすっと下に置いた。
「敷波とは手紙のやり取りだけです。あの子は少し前までは横須賀鎮守府にいたのですが、最近新設された大湊鎮守府に異動になったそうです。」
艦娘たちは顔を見合わせた。その大湊鎮守府というのがどんなところか
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