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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第十四話 それでも姉妹
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の膝を貸してあげようか?」
「なっ!?」
日向が動揺した。
「ほら、いいから遠慮しないでって。」
嫌がる日向を無理やりに寝かしつけると、あきらめたらしくそっと伊勢の膝に頭を乗せた。
「どう?」
「・・・・嫌じゃない。」
「でしょ。胃薬飲んだの?」
「あぁ・・・。」
「なら、後は横になっているのね。大丈夫だから。」
「・・・・・・・。」
日向は目を閉じた。なんだかんだ言っても姉妹なのだ。お互いを信頼しあっているからこんなこともできる。これからそういうことを妹たちにしてあげられるだろうか。そう思うと紀伊は少し切なさを感じたとき、高らかな鈴谷のアナウンスが城内に響き渡った。
『すごい!!信じらんない!!赤城選手は220個完食!!そして近江選手も220個完食!!引き分けです、引き分け〜〜〜〜〜〜ッ!!!』
おおっ!!と会場がどよめいた。
「赤城に匹敵する食べっぷりは伝説に残るね。いや〜呉鎮守府始まって以来のことじゃない?」
紀伊は何と言っていいかわからず、赤くなったりスカートをいじったりしていたその時、救いの神が現れた。
「紀伊さん。」
紀伊が顔を上げると、榛名が立っていた。
「そろそろ私たちも準備しましょう。」
「はい。」
紀伊が立ち上がった。
「すみませんが、行ってきます。」
「ここはいいから、行ってきな。二人とも頑張ってね。」
『はい。』
榛名と紀伊はうなずくと、コンサート会場に歩き出した。
「金剛さんは大丈夫なのですか?」
「ええ。大丈夫です。すみません、よく噛みもしないで詰め込むからああなるんです。でも、そこが姉様らしいのですけれど。」
榛名はふふっと笑った。
「そう言えば紀伊さんは妹さんともう再会なさったのですか?」
「はい・・・ええ。」
「どうしました?」
「その・・・・この前のときもそうだったんですけれど、姉妹って実感がわかなくて、困ってるんです。榛名さんは初めて金剛さんたちとお会いした時のこと、覚えていますか?」
「初めて、ですか・・・・。」
榛名は少し空を見上げ、目を細めた。
「いいえ。覚えていません。気が付けばいつもそばにいるのが当たり前だった、そんな感じなんです。きっと前世でつながりがあったからだと思います。」
「やっぱり・・・そうですよね。」
「でも、紀伊さんたちだってすぐにそうなると思います。」
だといいのですけれど、と紀伊は言葉を濁した。讃岐も近江もどこか自分と違っている。少なくとも榛名や霧島、金剛、比叡のように一体感がないように見える。その違いは何なのだろう。
「ご存知ですか?」
榛名が紀伊を見た。
「私たちって実を言うと微妙に艤装が違うんです。」
あっと紀伊は声を上げていた。確かに服装や雰囲気は似ているところはあるけれど、艤装は四人とも同じではない。

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