第十四話 それでも姉妹
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瞳はとても優しそうだったが、それが驚きに変わった。
「あの・・・・。」
「・・・・紀伊、姉様?」
「近江・・・・・?」
瞬間、紀伊は胸にぶつかってくる近江を受け止めていた。
「あぁ・・・!!」
紀伊の肩に顔をうずめながら近江は声を詰まらせた。
「姉様、本当に姉様なのですね!?よかった・・・やっと会えてよかった・・・・!!」
「近江・・・・。」
紀伊は嬉しくもあり悲しくもあった。妹がこんなにも慕ってくれているのに、ここに来るまで姉妹がいるかどうかもわからず、いると聞かされてもそれほど実感がわかなかった自分が妹に比べてとても恥ずかしかった。
「ごめんね。」
近江がやっと体を離したところで、紀伊が謝った。
「どうして謝るのですか?」
「私はあなたたち姉妹がいることなんて、ずっと知らなかったの。知ったのはつい最近だったわ。なのにあなたに連絡もしなかった。なんというか実感がわかなかったの。」
「いいえ、気になさらないでください。私は生まれた時から尾張姉様、讃岐がいましたけれど、紀伊姉様はずっと一人ぼっちだったのですから。無理もありませんわ。それより・・・。」
近江は視線を不意にそらすと、顔を赤らめた。
「許してください。さっきはあんなにはしたない真似をしてしまって・・・・。」
「いいえ、とてもうれしかったわ。ありがとう。」
紀伊はそっと近江の手を取った。
「それよりもしかしてずっと待っていたの?そうだったら申し訳なかったわ。あなたが眠っているって金剛さんから聞いたから・・・・。」
「いいえ、さっき起きましたわ。本当は真っ先に姉様にお会いしたかったのですけれど、体が言うことを聞かなくて――。」
「長旅だったのだもの、無理ないわ。今夜は呉鎮守府に泊まるのでしょう?色々とお話を聞きたいわ。」
紀伊の言葉に近江はようやくにっこりしてうなずいたのだった。
「はい!」
紀伊は近江を見ながらその時のことを思いだしていた。
(あの時はとても素直でいい子だと思っていたけれど、こんな一面もあったんだ。というか、すごい・・・あの赤城さんに負けないくらい食べてるなんて・・・・。)
そのことが恥ずかしくもありとてもおかしくもあった。
『残念なお知らせです!!お稲荷の在庫がなくなったとのことで、競技続行は不可能!!よって現時点での完食数をもって勝敗を決めま〜す!!』
「なくなった!?すごい・・・信じらんない。こんなこと初めてよ。」
伊勢が紀伊を見た。
「あんたの妹、とんでもないわね。」
「あぁ・・・さすがは、戦艦と空母の特性を持つだけはある・・・・。」
伊勢と紀伊が顔を上げると、日向が立っていた。少しだけ顔色が悪い。
「日向さん?大丈夫ですか?」
「少し食べすぎたな。ちょっと横になってもいいか?」
「いいよ、なんなら私
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