×××だと、彼女は―――
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え!?いやいやそんな酷くないんだって。そりゃ確かに腕はヒビが入ったって言われたけど」
「だったら尚更だよ!」
「せめて三日後とか…」
「百歩譲って再来週!」
コイツは本当に自分が重傷だと解っているのか。頭を抱えたくなる。
現場に駆け付けたティアが言うには「よくマジックゼリーとブラッドピアッサーを同時に相手してたものね。あと少し私が遅かったら出遅れだったかもしれないわ」なのだから、本当に危なかったのだろう。どういう訳か人より危機的状況を危険だと思いにくいティアがそう言うのだから余程のはずだ。
「いや、本当に大丈夫だからさ」
「んな訳ないだろ!あんなボロボロで帰って来て、大丈夫な訳……!」
音を立てて立ち上がる。視界が揺れるのは何故だろう。
……心配だったのだ。自分より背が低くて華奢な少女に背負われて帰って来た姿を見た時、その姿がボロボロで傷だらけなのを見た瞬間、死んでしまうのではないかと不安で不安で仕方なくて。
「ミ、ラ?」
「あのまま死んじゃうんじゃないかって…死んじゃったらどうしようって……!」
声が震える。頬を涙が伝う。
思うままに、感情のままに、ミラはありったけを吐き出した。
「大好きだから、死んでなんてほしくないんだよ!だから……っ!」
「……え?」
アルカが呟いた。
目を丸く見開いて、ぽかんと口を開けて、その頬がじわじわと赤くなっていって。
「い、今ミラ、何て言った?え、オレの聞き間違いとかそういう系?幻聴?え、だ、大好きってどういう意味の……?」
「……は…?……ああああああああっ!?」
指摘されて初めて気が付く。一瞬何を言っているんだと言わんばかりにぽかんとしたミラが、気づいた瞬間絶叫した。咄嗟に後ろに下がり、ぽすっと椅子に座る。
お互い目は離さず、けれど放心状態で数十秒。
「あの、ミラさんや」
「…何だよ、その口調。変」
「ごめ…ちょっと混乱中。いや、だってまさか…えっと、さっきの好きっていうのについて確認させて頂いても?」
「う…」
言葉に詰まる。
けれど、ここまで来てしまったらもう出来る事は一つ。やる事も一つ。
「…そうだよ、好きなんだよ!アルカの事が、私は、大好きです!悪いか!?」
「……という訳で、二人は無事交際始めて今に至る、と」
そう締めくくって、ティアはすっかり温くなったコーラを飲み干した。
気づけば外は夕焼けで、ダッシュでギルドを出て行ったアルカはいつの間にか戻って来ている。話が聞こえないようにかカウンターから離れた席で、何やら談笑していた。
「へー…ありがとティア、参考になったわ!にしても、やけに詳しいけど……」
「そりゃあアルカがその頃よく話してたもの
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