×××だと、彼女は―――
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。私がコイツ等の相手をしてる隙にアルカが逃げられれば―――)
紫の光がミラを包む。体が組み替えられていく。己を包む光の繭を翼を広げる事で吹き飛ばせば、銀髪を逆立てた悪魔がそこにいた。
そこから間をおかず、台車を挟んだ左に立つ彼に顔を向ける。
「アル――」
「なあミラ、一つ聞きたいんだけど」
「…は?」
呼びかけを、他でもない彼自身が遮った。
この状況には似合わないほどゆっくりとした動きでこちらを見たアルカは、笑みを崩さずに上を―――雲一つない青空を指す。まさか上からも何かが、と緊張で顔を強張らせつつ見上げる。が、あるのは青い空と、特に害はなさそうな鳥が緩やかに飛ぶ姿だけ。
何が言いたいのかと顔を戻すと、彼は変わらない調子でこう言った。
「お前ってさ、飛べる?」
「……は?」
何を言っているのか解らなくて、たっぷり三秒は使ってどうにか声が出た。その間にも距離を詰めていくビックマウスの笑うような声が響いているが、意識を持っていこうとしても問われた内容の意味が解らなくて、それで頭が埋まってしまう。
彼の言う飛ぶ、がその場でジャンプ出来るかという事ではないのは明らかで、空を飛べるかと聞きたいのだとようやく理解した。いや、理解ならとっくに出来ていたのだけれど、そんな事をこの状況で聞いてくるとは思っていなかったから、それが答えだとすぐに用意出来なかったのだろう。
「何言って……飛べるに決まってんだろ、何の為の翼だよ」
「だよなあ」
気の抜けた声が、気の抜けた返事をした。
確認するように数度頷いて、「じゃあさ」と続ける。
「オレが合図したら飛んでほしいんだけど、いいかな」
「……、……はあ?」
先ほどから同じ反応ばかりしている気がするが、実際にそうとしか言えないのだから仕方がない。中身が空っぽのままでは、何故コイツがそんな事を言い出すのかも解らない。
「そんじゃあ行くぞー、さーん…」
「い、いや待て待て待て!作戦にせよ何にせよ少しは説明しろよド阿保!」
そのままカウントダウンを始めようとするアルカを焦りながら止める。
何言ってんの?とでも言いたげにきょとんとこちらを見た彼に頭を抱えたくなる衝動をどうにか抑え込んで、カウントが止まった事に安堵しつつ睨むように問いかけた。
「合図したら飛べって、それで何の解決策になるんだよ?台車の中身持って私だけ逃げるとかだったら即却下だからな」
「え?…ああ、そういう手もアリか」
「ナシだよ!つーかそうじゃないなら何しろって!?」
「いや、説明したいのはやまやまだけど、んな暇ねえぜ?」
「簡単に!一分程度で説明しろ!」
「そりゃキツいって!…まあ頑張るけどさ」
何だかんだ言いながら言いたい事を簡略化して伝える気になったようで、敵の
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