機動戦艦ナデシコ
1395話
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深かったが、その答えが出るのはそう遠くない話だろう。
特にヤマダモドキの揃っている木連は、良く言えばフットワークが軽い、悪く言えば深く考えもせずに行動に移す者が多い。
そんな連中にとって、自らの命を謝罪の代償に支払うというのがどのような意味を持つのか……それは考えるまでもないだろう。
「では、最後にもう一言だけ」
一旦言葉を切って目を瞑ったミスマルだったが、次の瞬間には今までの態度を一変させ、一つの勢力の代表であるミスマルではなく、軍人としてのミスマルでもなく……ましてや父親としてのミスマルでもなく、ただ一人の男のミスマルとして叫ぶ。
「賊軍の者共よ! 今降伏してくれば上に従って強制的に従わされただけだという扱いにしてやろう。だが、この放送以後……それでもまだ我等討伐軍に対して敵対をするのであれば、以後は本当の意味でお前達を賊軍として扱う!」
怒号……と呼ぶよりは雄叫びと表現した方がいいような声。
だが、その雄叫びの中にはミスマルの気持ちがこれでもかといった具合に篭もっていた。
ミスマル自身、グリューノとの関係が必ずしも良かったという訳ではない。
そもそも穏健派のミスマルと強硬派のグリューノだ。寧ろ敵対していたと表現するのが正しい。
それでも、敵対はあくまでも政治上の理由であって、実際にはお互いを本気で憎んでいた訳ではないという事なのだろう。
いや、勿論政治上の関係で相手に苛立ちを覚えるといった行為は間違いなくあっただろうが。
軍人でも派閥とか政治とかを考えなきゃいけないところに、軍人として上に行った者の面倒臭さを感じる。……いや、軍事国家シャドウミラーの頂点に立つ俺が言うべき事じゃないんだろうけど。
「では、これで討伐軍結成と賊軍への最後通牒、木連へ対してのグリューノ元総司令の謝罪についての発表を終わりたいと思います。皆さん、ご静聴ありがとうございました」
そう告げると同時に放送が切れる。
「……」
放送が切れても、ミスマルはただじっとその場に留まったままだった。
今回の件で色々と後戻り出来なくなったと思っているのか、それとも他にも何か思いがあるのか。
ともあれ、今はそっとしておくべきだろう。
アカツキへと視線を向けると、向こうも俺の方へと視線を向けていた。
一瞬だけお互いに視線を向け合い、どちらともなく頷きを返すと、俺達は黙ってその場を後にする。
「どう思う?」
そして演説を行っていた部屋から少し離れると、不意にアカツキがそう尋ねてくる。
「どう思うって、何がだよ?」
「反乱軍……いや、賊軍さ。シャドウミラーがこっちに付いたとなれば、降伏してくる奴も結構出てくると思うんだけど」
「……どうだろうな。確かに一定の人数は降伏してくる
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